ICT教育で先進的な取り組みをされている山江村。
山江村教育委員会教育長の大平和明氏に山江村のICT教育についてお話しをお伺いいたしました。
熊本県山江村教育委員会
教育長 大平 和明
――昨年、山田小学校でICT活用に関する研究発表が行われ、本年度は研究テーマとして「児童の思考力・表現力の向上を支えるICT活用の在り方」が掲げられています。
教育委員会としては、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
教育の情報化を推進するにあたっては、学力の向上や教員の負担感の軽減、さらには評価に対する客観性などが将来的に達成されていくことになるでしょう。教育委員会としては、実務を推進する学校のビジョンがまず大切であると考えています。そこを礎に学校経営や授業改善を具体的に進めてもらうことを希望していますし、その中でICT活用が効果的であることがわかれば、理解も促進されると考えています。
そのために、できるだけ学校が求める設備環境を整えるように努めています。そして、それが活用され、5年先、10年先の学力向上につながっていくことが望ましいと捉えています。
――子どもたちの学習環境が充実することは、「授業の質」にも結びついていくことになるのでしょうね。
子どもたちが家に帰って『今日、学校楽しかったよ!』と保護者に話をすると伝え聞いています。今までにない画期的なことであると思います。それによってプラスの連鎖が生まれていくと良いと考えています。
――今後の計画は、何かありますか。
「山江をICT教育の拠点にしたい。」と
語る大平教育長
本年度、ICT環境整備委員会を組織しました。今後の導入は、この委員会を中心に研究していく予定です。ただし、教育委員会が一方的に機器を揃えるのではなく、学校の考えも聞き、より効果的な導入を目指していきたいと考えています。山田小学校では、先行して導入した電子黒板を毎朝立ち上げて活用しやすい環境にしています。先生はもちろん、子どもたちも自由に活用していますね。
――山田小学校にも導入されている「伝えるチカラPRESS」に関しての印象はいかがでしょうか。
昨年の発表でも〈新聞制作〉が活用されていました。
印象として、大変わかりやすいソフトであると思います。子どもたちにも合っていることから活用頻度が高いのだろうと推測しています。同時にタブレットPCの活用と連動させて新しい学習スタイルが見えてきたのではないかと感じました。学校での活用において非常に大きな可能性を持っているでしょうね。
また、タブレットPCに関しては、低学年の個別学習用に活用していますね。児童にヒントを提示するような場面で効果的なようですね。先生方が授業場面でICT機器を効果的に活用していく場面は、今後さらに増えていくと期待しています。
水と緑あふれる 心豊かな栗の里
熊本県 球磨郡 山江村
山江村は、熊本県の南部に位置する自然豊かな村である。人口は、3700人程で小学校2校と中学校が1校ある。
村内には、歴史を物語る多くの名所・旧跡も点在し観光スポットも多い。特産品の栗にちなんで「マロン号」と命名された九州地区に現存する最も旧いボンネット型バス(平成17年「産業考古学会推薦産業遺産」として認定)や、今はレストランや会議室として使われている旧山江村役場庁舎「時代(とき)の駅むらやくば」(国指定登録有形文化財)などゆっくりとした時間の流れを感じることができる。