インタビュー&コラム

Lead Article

堀田龍也先生

約14万人の小学生が挑戦している
全国小学生キーボード検定サイト
プロジェクトリーダーに聞く、

「キーボー島アドベンチャー」の魅力

静岡大学 
情報学部情報社会学科
(教育情報システム研究室)助教授
堀田 龍也

(2005/04掲載)

昨年は全国で1900の小学校で約14万人もの子どもたちが挑戦しました「キーボー島アドベンチャー」。
3年目を迎え、多くの小学校で安心してご利用いただけるサイトとして定着してまいりました。
また、これまで大変多くご要望いただいておりました、家庭や小学校以外でも使いたい!という声にお答えし、さらに進化した「キーボー島アドベンチャーDX」、これまでの検定サイトをパッケージ化した「キーボー島アドベンチャー ホーム」を製品化。さらに広がる「キーボー島アドベンチャー」の魅力を堀田先生に語っていただきました。
全国小学生キーボード入力検定サイト
キーボー島アドベンチャー

 

「キーボー島アドベンチャー」に夢中になる小学生が続出!

現在、小学校や中学校では、コンピュータ教室だけでなく普通教室や特別教室にもコンピュータが配備されようとしています。これに伴って、各学校へのプロジェクタの導入やネットワークの高速化が準備されています。また、「総合的な学習の時間」をはじめ、国語や算数、理科、社会といった教科の時間にも、コンピュータが利用されています。
10年20年前には考えられなかったほど、コンピュータを学習の道具として利用する場面が増えているのです。
子どもたちは、コンピュータを使ったプレゼンテーションやWebページの作成などを通じて、自分の思いを分かりやすく相手に伝えるといった活動に取り組んでいます。

しかし、そこにはひとつの大きな課題が横たわっています。それは、子どもたちのキーボード入力スキルに、大きな差があることです。
授業で日常的にコンピュータを使う今の子どもたちにとって、キーボード入力は避けては通れないものになっています。キーボード入力のスキルが高い子どもたちは短時間で入力を完成させ、内容の質を高める活動に時間を割いています。それに比べ、キーボード入力がおぼつかない子どもたちは、とにかく入力するだけに時間がかかってしまい、肝心な学習内容を理解できません。このように、学校では子ども達のキーボード入力スキルの有無が、学習活動の質まで左右する問題となってしまいます。

では、子どもたちはどうやってキーボード入力スキルを身に付けたらよいのでしょうか。
残念ながら、キーボード入力をマスターする十分な学習時間は、教科の中では保証されていないのです。

小学生がキーボード入力を楽しみながら練習し、そのスキルを高めたい―――全国小学生キーボード検定サイト「キーボー島アドベンチャー」は、このような願いから企画されました。

検定サイトの開発にあたっては、情報教育実践のリーダー格の先生方、大学でインターフェースを研究している研究者に協力してもらいました。正式オープンの3ヶ月前から、20名もの若手を中心として学校現場の情報教育実践家とそのクラス・学校の子どもたちに、モニターを依頼しました。
たくさんの先生方と子どもたちの意見を取り入れて、この検定サイトが開発されたのです。

キーボード入力は、一種の運動技能です。一度できるようになれば、いわゆる「体が覚えている」状態になります。長い時間をかけて鉛筆で字が書けるようになった子どもたちが、その後はさまざまな場面で自由に鉛筆を使っていることと同じようなものです。さらに、「キーボードで文字が打てる」ということ自体が、子どもたちにはとても楽しい体験です。なぜなら、練習すれば必ず成果が現れるからです。30もの級によるスモールステップにしたのは、子どもたちが少しずつ、自分の成長を「級の伸び」で確認しながら進めるようにするための配慮でもあります。

短い時間で繰り返しチャレンジし、自分の伸びを確認できる―――ついつい本気になって取り組んでしまう、がんばり屋の子どもたちが全国に続出しました。

 

 

「キーボー島アドベンチャー」の効能

2003年の9月に正式スタートした1年目の「キーボー島アドベンチャー」は、7ヶ月で約8万名もの子どもたちが登録しました。評判が評判を呼び、2年目となる2004年度には、2005年の3月初めまでで、実に約14万名もの子どもたちが登録する検定サイトとなりました。

「キーボー島アドベンチャー」に取り組んだ子どもたちの多くは、確実にキーボード入力のスキルを身に付け、それによって自信を持ちました。
一度身につけたキーボード入力のスキルは、当然あらゆる場面で利用することができます。授業の中でもキーボード入力スキルを活かすことができ、例えば、パソコンを利用して、発表資料を短い時間で作成することができるなどの効果が現れています。
(このあたりの実践事例は、「キーボー島アドベンチャー」のキーボー島マガジンやスズキ教育ソフトが運営するキューブランドWebで紹介されています。)

この成果に一番驚いたのは先生方のようです。検定サイトを管理しているキーボー島事務局には、「キーボー島アドベンチャー」で子どもたちに力がついたこと、授業が楽になったこと、子どもたちが生き生きしたこと、これまでコンピュータを使った授業に懐疑的だった先生方にも納得してもらえるようになったことなど、うれしい報告がいくつも寄せられました。

プロジェクト立ち上げ時には、私たちの目標は1万名の子どもたちに使ってもらうことでした。それが今では、期待値をはるかに超えた14万人というご利用をいただいたことをうれしく思うと同時に、非常に多くの子どもたちと先生方にプロジェクトの趣旨をご理解いただけたことをありがたく思っています。

 

 

進化する「キーボー島アドベンチャー」

小学生のキーボード入力スキルを高めるために開発された「キーボー島アドベンチャー」ですが、全国の小学校でご利用いただく中で、ご家族のみなさんや中学校、大学、パソコン塾などからも、どうしたら利用できるのかといった問い合わせをたくさんいただいていました。中学校やご家庭においても、楽しみながらキーボード入力スキルを身に付けたいといった要望が高いことがよくわかりました。
こうしたたくさんの反響を受け、また、検定サイトを利用している小学生からの要望やアイディアも実現する形で、「キーボー島アドベンチャー」を製品化することとなりました。

これまでの検定サイトの内容を家庭向けにパッケージ化した「キーボー島アドベンチャー ホーム」、検定サイトの内容から機能アップし、学習ゲームを付け加えた有料サイト「キーボー島アドベンチャーDX」。どちらも楽しみながらキーボード入力スキルを身に付けることについては、全国14万人の小学生が実証済みです。
情報教育の生涯学習サイトとして進化する「キーボー島アドベンチャー」。みなさんもぜひお試しください。

スズキ教育ソフト