キューブランド50号記念座談会 今、求められる「言語活動の充実」!

 

 

クローバー「言語活動の充実」とデジタル教科書

中川一史中川 デジタル教科書の話がでましたが、デジタル教科書は言語活動の充実にどのように有効でしょうか。
黒川 デジタル教科書は、学習の導入ときっかけ、基礎基本の習得というところに有効な活用があると思います。あくまで言語活動の学びそのものではなく、それを支える基礎や習得の段階をサポートする側という考えです。
 例えば、話す聞くの場合は、実際に話し合いのポイントを映像で見るとわかりやすいですよね。書くことは、資料やワークシートを活用したり、読むことは、重要な文章に線を引いたり、あるいは言語活動では読み聞かせのためのアニメーションも入っている。そういうものがとても役に立つと思います。特に活動の順番を示したページを拡大提示することは、子どもたちが活動の流れを常に確認できるという点で有効ではないかと思います。
 できる限り習得段階をサポートして、言語活動での活用そのものに時間を費やすことが、デジタル教科書の役目になるのかなと思っています。
中川 支えるという意味では、いろいろな機能なり素材なりが各学年ちりばめられていますよね。実際に使ってみる側として、いかがですか?
佐藤 今までなら、教科書で「学級会をひらきましょう」と書いてあるわけですが、それが映像ででてくると、向かい合って話し合っているとか、とても視覚的にわかりますね。映像は、すごく訴えるものがあると思います。
菊地 今言われたように、話し合いの例で見せたり、「学習の手引き」と同じ内容がデジタル教科書に載っていて、大事なところを子どもたちと一緒に確認させたりできるところが良いなと思いました。

 

クローバー表現活動支援ソフト「伝えるチカラPRESS」

中川 表現活動を支援するツールとして「伝えるチカラPRESS」を開発されたわけですが、そのウリは何でしょうか。
鈴木広則鈴木 一番は、全部をデジタルでできるように、とは考えなかったところです。修正するなら手書きで、というところを残しました。例えば、新聞制作は、記事を原稿用紙で出力できるようにしたのですが、それに修正した文章を書き込めるように、あえてアナログ的なところを残すようにしました。全部デジタルでやると子どもたちの考える時間を奪ってしまうと思ったからです。手で直すと、やっているうちに違うアイデアがでてきます。そういうところが大切だと思います。
 あと、ソフトは4種類ありますが、伝えるメディアが違う。プレゼンなら目の前の人を対象、リーフレットなら興味のある人、新聞なら本当に新聞に必要な要素を入れる、言葉を録音できるニュース制作なら、それ自体が独り歩きするなど、それぞれ違うメディアでの作り方の意識付けができたらと思っています。もちろん、本当に授業で使いやすいかどうか、「研修パッケージ」とあわせて、佐藤先生、菊池先生など、プロジェクトのメンバーの先生方に使っていただき、子どもたちが直感的に使えるように直してきました。本当に授業で使いやすいものになっているという自信ができました。
中川 今言われたように4種類あって、どのソフトから使われることになるかわかりませんが、基本的なレイアウト、使い方が共通していることで、他のソフトに移ったときにも抵抗感がなく使えることが大事なポイントであると思います。
黒川 「伝えるチカラPRESS」は、言語活動そのものをサポートするソフトです。子どもが実際に動かして、その中で言語活動ができるというのは、そう多くありません。授業の中で使えるソフトを目指した、というのは非常に大きなポイントですね。時間のかかる「型の提示と習得」の初期段階をスムースに進められるので、子どもたちが思考すること、判断すること、表現することに集中できる。考える時間を保証するソフト。これが何よりこのソフトの特徴だと思います。
中川 リーフレット制作のソフトで言うと、「白紙からつくる」と「テンプレートからつくる」から選択できますよね。クラスの実態とか、教師のICT活用力の実態に応じて決められる。そこが大きいと思います。
 それから、社長が言われた「すべてがソフトでやるのではない」ということ。原稿用紙を入れたということは、ソフトから離れなさい、と言っているわけですね。鉛筆で書きながら消しゴムで消してグループで友だちと相談する。つまり、学習活動のなかで「伝えるチカラPRESS」にしてもデジタル教科書にしても、使う部分は単元の一部で何でもやることができると思われるのは大きな間違いであると。そのような考えが組み込まれていることをご理解いただきたい。
佐藤 「研修パッケージ」では、一人で記事を書き、その記事を持ち寄って、ひとつの記事を作り上げていこう、という学習プロセスになっているわけですね。どこで個の学びを入れて、どこで協働的な学びを入れていくかという、私たちの授業デザインの学びにもなっていくソフトなのだと思います。
中川 そうですね。授業デザインを考えてもらいつつ、このソフトの活用を考えてもらうという順番がキーだと思います。
菊地 ずっとパソコン室にいるということではなく、普通教室だったり、外で取材したりして、つける力は前段階の教室でつけておいて、ソフトは流し込む作業のみ。そんなに考えなくてもポンとできるところが、このソフトの良いところだと思います。

 

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