インタビュー&コラム

Column

ITでもっと技術科!(1)

三重大学 教育学部 技術教育研究室・助教授
村松 浩幸

(2004/06掲載)

中学校技術・家庭科技術分野(以下、「技術科」)の教師の経歴をもち、現在三重大学教育学部にて技術教育の研究をされている村松先生に、全3回にわたり、技術科における“ものづくり”の魅力とIT(情報技術)の必要性について語っていただきます。

 

 

ロボットコンテストの集まりで

 3月末のこと。県庁のロビーを借りて何校か集まり、ロボットコンテスト=ロボコンのデモンストレーションをすることになりました。春休み、製作をしたいと来た生徒達と一緒に作業していた時の事。あるお母さんが突然来校。何だろうと思ったら、ぜひ息子の取り組みを実際に見たいと。別段教育関係者でも技術関係でもない普通のお母さんなのですが、息子が家で生き生きと話してくれるロボット作りや技術の話に感激し、ご夫婦でロボコン大会も見に来てくれたとか。そこでの子ども達の作った作品への驚きや、子ども達の輝いている姿を見て非常に感銘し、ぜひ直接見てみたいと足を運んでくれたのでした。 技術科の教師としてとてもうれしい出来事でした。ついには雑多に材料や資料が並ぶ倉庫まで案内し、説明させていただきました。・・・もう少し片付けておけば良かった(汗)

 

 

ものづくりとIT活用

 これはほんの一例ですが、このようにものづくりには子ども達を引きつける魅力があり、子どもの感動は保護者にも伝わっていきます。それが技術科の原点であると思います。
 ものづくりと情報技術=ITは相対するように見られがちですが、そんなことはありません。例えば先のロボット。先輩達の作品はもう実物がほとんど残っていません。しかしディジタルカメラやビデオで記録され、プレゼンソフトでまとめたり、ディジタル編集されて映像化された先輩達の作品は、今もディスクの中で出番を待ち続けています。そして後輩達はネットワークを通して先輩達の作品を引き出し、それを参考にしながら、より良い作品を、より自分らしい作品を作ろうとしていきます。同時に自分達の歩みをディジタルで記録していきます。時に他の学校とだってつながることもあります。ITの活用によってものづくりが加速し、学習がより深まっていく。そんな使い方をしていきたいですね。

 もちろん技術科の授業ではITの活用によるものづくりだけではありません。「情報とコンピュータ」というITそのものを教える内容もあります。これもとても大事です。単にコンピュータやインターネットは便利だからというだけでなく、現実のものづくりはすでにIT抜きでは語れません。ITによって社会そのものが変わりつつあります。そんなITを子ども達に実感を持って伝えられたらいいですね。
 ITでもっと技術!ITを初め様々な技術に支えられている今の社会だからこそ、ものづくりに感動をし、ITを自らのものとしていき、技術から社会を見ることができる力が、次の世代を担う子ども達には必要だと思っています。

 フロッピー1枚で動く頃から、長らく中学校のPC室で活躍してきたハイパーキューブシリーズもさらに改良された新製品が出ると聞きます。新しいキューブシリーズがものづくりを加速するIT活用に。そしてITを自らのものできるツールとして活用できれば素晴らしいですね。

 

ITでもっと技術科!(2)

 

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