さまざまな端末を使い分ける
延岡市は令和3年度からGIGAスクール構想に伴い、児童1人1台ずつChromebookを導入。ネット回線も高速化された。キューブきっずがインストールされているWindowsタブレットは、平成30年度からのリースで来年度まで配置されている。
方財小学校のICT研修では、キューブきっずの他、Chromebookで使うことができるさまざまな学習アプリの活用例を示し、それぞれのいいとこ取りをしているという。小規模校ゆえに、台数が限られたWindowsタブレットもパソコン室から持ち出すことができ、Chromebookと併用することもあるそうだ。
のびのびとした学級で
3・4年生は複式学級。4年生7名は昨年度からICTを頻繁に活用しており、先生の教えたことをすぐに理解し作業を進めることができる。3年生3名は年度当初あまり慣れておらずローマ字入力もままならなかったが、4年生のサポートにより、学級全体のICT活用スキルが高まったという。
オンラインで行われたインタビュー当日は、総合的な学習の時間の一部を使い、子どもたち自身も質問に答えてくれた。担任の髙田先生と時に冗談も交えたコミュニケーションを取る子どもたちは、とてもリラックスした雰囲気。画面越しの質問には少し緊張した表情も見せたが、先生の呼びかけに応じて何人もの児童が積極的に発言してくれた。
教室全体をwebカメラで映しながらビデオミーティング
少しずつステップアップ
髙田先生は、延岡市立一ヶ岡小学校に在籍されていた10年前から、パソコンクラブなどでの活用をキューコンに応募し続けてきた。前任校の延岡市立港小学校に異動して、小規模校ということもあって活用頻度が格段に高まり、2019年度が入賞、2020年度がステップアップ賞、2021年度が準グランプリと階段を上る。そして定年退職を迎える2022年度に、方財小学校に赴任。キューブの活用頻度は変わらず高かったので、ぜひチャレンジしたいと思ったそう。
髙田先生前任校で準グランプリをいただいた時は全校児童での応募だったため、それが評価されたと思っていました。今回は3・4年生だけの応募でしたのでグランプリ受賞には大変驚きました。
校長先生この度のグランプリ受賞を大変光栄に思います。日頃の熱心な研究の成果だと思います。髙田先生は、校内におけるICT教育を強力に推進し、学級の児童への指導だけでなく、他の職員への支援、校務分掌(生徒指導主事)の中でのICT活用、またPTA活動にもその魅力を広げていただいています。退職後も、本市のICT活用の原動力となって、活躍されるのではないかと思います。
佐藤先生交流学級である3・4年学級において、音楽、図工、体育、道徳、学級活動、そして総合的な学習の時間に一緒に学ばせてもらっています。髙田先生のご指導や友達のサポートもあって、キューブきっずのさまざまな使い方を知り、児童のスキルもかなりアップしました。タブレットを使う授業がとても楽しかったようです。
校長内藤 功 先生
情報担当 3・4年生担任髙田 和彦 先生
特別支援学級担任佐藤 洋之 先生
方財小学校で表彰式!
3月にキューコンの表彰式が行われました!
「我こそが表彰されたい!」と次々に手が挙がったため、賞状、副賞の図書カード、参加賞のマルチクロスを代表3名がそれぞれ受け取りました。嬉しそうな子どもたちを見て、表彰担当も嬉しくなりました。
子どもたちの、先生の、学習用具の一つとして
WindowsタブレットやChromebookをどんどん活用しながらも、それらはあくまでも学習用具の一つだということを意識させているという髙田先生。キューブきっずをどのような場面で活用しているのか。
髙田先生主に新聞や作文を、キューブきっずを使って作成しています。子どもたちへのインタビューで「文章を書くのが難しかった」という意見が出たのですが、作文が苦手な児童は多いので、作文を組み立てるためのメモから作成できるキューブきっずの機能に助けられています。
また、私自身が楽器を演奏するのが苦手なので、音楽記号の意味を体験的に学ぶことができるキューブミュージックがとても役に立っています。ソフトを使えば音を簡単に出せるので、コロナ禍で歌を歌えない・楽器が吹けないという状況でも、音を確認しながら修正するという理論的な学習ができたと思います。
地域とのつながりの中で
髙田先生本校は校区がとても狭く、自転車ですぐに児童の自宅に訪問できる距離です。私の母校でもあり、地域の方とのつながりも深いので、総合的な学習の時間で地元の神社を取り上げた際もスムーズに連携が取れました。歩いて5分くらいの神社に、Windowsタブレットを持ち込んで、写真や動画を撮影させてもらいました。 その際にも、学年当初にタイピング練習のために作成した名刺が役立ち、お話を聞く相手に渡してあいさつすることもありました。地域の方々も、子どもたちのICT機器への順応力の高さに驚いていました。
方財神社を見学する児童たち
気軽にICTを活用する姿を目指して
これまで市内の学校でICT活用を推進する役割を担ってきた髙田先生。原点となったのは、23年前に東京工業大学の研究室に内地留学した経験だという。
髙田先生それまでは文書作成や発表でパソコンを使うくらいのスキルしかなく、研究室内で飛び交うコンピュータ用語が理解できずに苦労したことを覚えています。2か月ほどでようやく馴染み、そこで1から取り組んだLinux※でのサーバー構築とPCを自作した経験が今の仕事につながる原点かもしれません。
ICTに苦手意識のある先生方にとって、これまでの指導の上に、さらにICTを使うように言われたら負担が増えるだけだと感じます。それなら今までのやり方の方が良いとなり、ICTから疎遠になっている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。退職後も市内の学校で常勤講師として働き、そうした先生などに操作をわかりやすく教えたり、ICTの活用が校務の効率化、子どもたちの理解度アップにつながるということを伝えていきたいと思います。子どもたちも先生方ももっと気軽にICTを活用する、そんな理想を目指して取り組んでいきたいです。
- ※Linux
- 無料で利用できるオペレーティングシステム
番外編子どもたちの活動の様子をご紹介
タブレット操作も、先生に教えてもらいながら少しずつできるように
協力して動画を撮影
神社について調べたことを下級生にプレゼン