多くの学校では、GIGAスクール構想による1人1台端末の活用が2年目をむかえました。地域や自治体、また学校によって活用度に格差が広がっているという声も聞こえてきます。活用が進んでいる2つの小学校を訪問し、端末活用の基礎基本である「キーボード入力スキルの育成」という視点で取材させていただいたところ、2つの学校にはたくさんの共通点がありました。両校のさまざまな取り組み(工夫)をレポートします。
札幌市立稲穂小学校
菅野 光明 校長先生
相模原市立二本松小学校
篠原 真 校長先生
共通点1
キーボード入力スキルはすきま時間に育成!
どちらの学校でも、キーボード入力スキルの育成には「キーボー島アドベンチャー(以下キーボー島)」が利用されていました。どんな場面でキーボー島が使われているのでしょうか。札幌市立稲穂小学校では、授業のなかで先生から出された課題が終わった後の時間に使われていました。キーボー島をやりたいために、がんばって課題を早く終わらせるという児童もいるそうです。相模原市立二本松小学校では、朝の会が始まる前の自由時間「朝タイム」で使われていました。どちらの学校でも、キーボー島での練習は本を読む・ドリルをおこなうなどと並ぶ選択肢の1つ。子どもたち自身にやりたいことを選択させているそうです。
課題が終わった児童がキーボー島に挑戦
キーボー島に挑戦する児童のとなりではドリルを開いている児童も
共通点2
やりたいなら1年生から挑戦させる!
キーボー島はローマ字入力でスキルを身に付けるしくみです。そのため3年生でローマ字を学習してから挑戦させるという学校も多いと思います。しかし今回取材した学校では、特別支援学級も含め1年生にもID・パスワードを配布していました。端末へのログインにアルファベットが使われていることもあります。1・2年生のうちにフラッシュ型教材などでアルファベットの読み方を覚え、キーボー島に挑戦する。そのことは3年生でローマ字を学習するための準備にもなるそうです。どちらの学校でも1年生や2年生に名誉島民がたくさんいることに驚きました!
1年生にも配布されるログインカード
2年生も初段に挑戦!(初段をクリアした児童は名誉島民になれます!)
共通点3
紙にも書く!
校内各所には(直筆の)さまざまな掲示物が貼ってありました。キーボード入力スキルの育成とともに、紙に書くという活動もしっかりおこなわれていることがわかりました。
共通点4
校長先生によるさまざまなしかけ!
子どもたちにがんばろう!と思わせるさまざまなしかけを校長先生自らが工夫なさっているのも共通点でした。賞状に校長先生のお名前が入っているだけで子どもたちのやる気は高まります。稲穂小学校では、名誉島民にはデジタルバッチが送られます。二本松小学校では、名誉島民への賞状は特別な大きさで渡されます。
デジタルバッチは毎年更新。一人ひとり専用のデータを個別に贈呈!
子どもたちにとって、賞状を校長先生から直接もらえるのは格別!
校長室は、あっという間に賞状をもらいにくる子どもたちでいっぱいに!
名誉島民の賞状は他の賞状の4倍の大きさで!
取材エピソード!
エピソード1
1年生に「1番好きなキャラクターは?」と聞くと「ブルードラゴン!」と即答。1級のキャラクターを知っているということは、君は1級に挑戦したことがあるんだね!
エピソード2
2年生の名誉島民にインタビュー。「キーボー島のコツは?」「AIUEOがあるでしょ?かきくけことかたちつてとにもあるから、準備しておくのがコツだよ」とのこと。ローマ字として理解しているんですね!
鹿児島女子短期大学の渡邉光浩准教授によると、キーボー島アドベンチャーが優れているのは、タイピングだけではなく、変換+確定までが練習できることであり、そこが他のサイトとは違うところとのこと。そんなキーボー島の活用場面、ぜひ先生方の学校でも参考になさってください。