授業実践リポート ICT活用&情報教育

神奈川県 川崎市立宮前小学校

繰り返しを意識した授業構成で情報活用能力の育成

5年4組 担任 鎌田 隆志 先生

教科:国語

活動名:本の紹介文の交流会をしよう!

活用ソフト リーフレット

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2018/12掲載
※記載の情報は取材時のものです。

児童の作品(本の帯)

 川崎市立宮前小学校は、川崎駅にほど近い町中の学校である。第44回 全日本教育工学研究協議会全国大会 川崎大会(平成30年11月9日(金)~11月10日(土))での公開授業校にもなっている。大会当日も公開授業が行われる5年4組の授業を拝見した。子どもたちはこれまで、教材文等を通して本の紹介について学習してきた。クラスの児童に紹介したい本を1冊選び、それぞれポスター、ポップ、帯から選んで作成した。本時では実際に作成したものを読み合って、交流会を行う。

授業の流れ

それぞれの机の上に紹介したい本の実物、紹介文(ポスター・ポップ・帯)、ワークシートを置く。お互いに見合って評価し、ワークシートにコメントを残していく形で進められた。

1 評価の仕方やポイントを確認

先生から評価のポイントとして、紹介文を見るときに絵・キャッチコピー・文章を確認し、なぜそれが良かったか・何が良かったかを具体的に考えるように指導があった。

2 グループで紹介文を読み合う

4~5人のグループでお互いの紹介文を読み合う。ワークシートには「読みたくなった理由」を具体的に書く。塗りつぶす☆の数で評価する。

3 良い(本が読みたくなった)紹介文をクラス全体で共有する

「話の展開が気になるキャッチコピーが描かれていると読みたくなる」等、それぞれが良いと思ったポイントを全体で共有する。

4 各自の作品を自由に見合う

共有したポイントを踏まえて、再度作品を見合う。その後、元の班に戻り、自分が見た紹介文の中で一番良かったと思うものを共有する。

5 誰の本が良かったかもう一度クラス全体で共有する

様々な意見が挙がり、中には何人もの支持を集める紹介文もあった。先生は「見た人が良さを言えるのは、本の良さが伝わったということ」と子どもたちの活動を価値づけた。

6 気になった本を読んでみる「味見読書」

最後に本の楽しみ方を広げる「味見読書」を実践する。

インタビュー

5年4組 担任 鎌田 隆志 先生

子どもたちの情報活用能力育成のために「繰り返し」指導することが大切

―子どもたちが将来変化の激しい社会で生き抜いていくために、今後、今までの授業に加えて、こんなところを意識していこうと考えていらっしゃることはありますか?

 子どもたちには、世の中に溢れている情報をうまく活用し、よりよい生活を送るだけでなく、よりよい社会を創り出せる人に育って欲しいです。そのためには、情報活用能力の育成が必須だと感じています。まずは情報の収集。それから、整理・分析。最終的にまとめ・発表する力を付けて欲しいと思います。そのためには、私たち教師がこのサイクルを意識して様々な単元の中で「繰り返し」行っていくことが大事だと思っています。また、ICT機器のスキルも同時に身に付けて欲しいです。ただ、そのようなことを学ぶ教科が設定されている訳ではないので、どこでそのスキルを身に付けていけるか、学校全体でカリキュラムを考えていくことが大切なのだと思います。

―授業デザインをされる際に工夫した点はありますか?

 「繰り返し」行わせる構成を意識し、毎回の単元の流れを考えています。国語の書く単元で<キューブきっず>を使っています。構成メモの例を提示し、子どもたちが実際に書き、内容を推敲して、最後に文章を完成させていくという流れにしています。違う単元でも同じサイクルで行うことによって前回身に付けた能力や体験したことを生かしたり、不十分なところを練習したりできるような構成になるようにしています。
 また、今回の授業に先駆けて、外部の講師を招いて著作権に関する授業を行いました。そのとき教えていただいた「引用」を、本の紹介文を作成する際にも実践している子がいました。学習したことをすぐに活用できるよう、カリキュラムを組んでいます。

―様々な単元で<キューブきっず>を使ってまとめをしているということですが、子どもたちはもともとキーボード入力のスキルが高かったのでしょうか?

キーボード入力で5分のうちに何文字打てるようになったか記録した表

 いいえ。ほとんどの児童がこれまでほとんどコンピューターに触れて来ていませんでした。そこで、学年全体でキーボード入力のレッスンに取り組みました。キーボード入力のスキルを身に付けるために、週に1回、朝や授業の最初の時間を使って、練習をしています。<キューブきっず>のリーフレットに教科書の言葉を打ち込んでいきます。5分間で何文字打てるかカウントしています。結果は表にして教室に掲示しており、子どもたちがお互いに刺激し合うきっかけになっているようです。回数を重ねるごとに入力できる文字数が伸びてきており、学年の中には200文字以上打てるようになった子もいます。練習を繰り返せば、そのうち手で文字を書くよりもキーボードで入力する方が速いという子どもも出てくるのではないかと思います。そうなった時にこそ、教科の学習にもよい効果を与えるのではないかと思います。なぜならば、速く入力できるようになった分、考える時間に充てることができるからです。

鎌田先生に<キューブきっず>を使った感想をお聞きしました

<キューブきっず>で広がる子どもたちの可能性

 今回、ポスター・ポップ・帯の作成に<キューブきっず>の「リーフレット」を使いました。メリットだと思ったのは、簡単に修正ができるという点です。手書きでは一度書いたものを修正となると、消しゴムで消したり枠に収まるように文字の大きさに気を配ったりしなければならないため、時間がかかりますし、子どもたちにとっても抵抗があると思います。一方、<キューブきっず>なら文字の修正はキーボードを操作するだけでできます。本来行うべき「文章を検討する」ということに集中でき、見やすい作品を作ることができました。その結果、「手書き」があまり得意でなかった児童の作品も、本来評価されるべき内容面で「良い」と言ってもらえるようになりました。その児童にとってもうれしいことだったのではないかと思います。

リーフレット

  • POINT.1 テンプレートがあるので短時間作成が可能!
  • POINT.2 記事内に文字が入りきるように残りの文字数を表示!
  • POINT.3 図はドラッグ&ドロップで簡単挿入!

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神奈川県川崎市立宮前小学校 「ひとくちメモ」

 川崎市立宮前小学校の普通教室には大型テレビ、教師用PC、実物投影機が設置されており、日常的に様々な教科で活用している。
 算数では、実物投影機で問題のイラストを拡大して投影し、書き込みツールを使って図示するなど、教室全体でイメージを共有できるようにしている。
 また、理科や社会、総合的な学習の時間では、副教材として動画クリップを視聴することも多いという。短時間でポイントがまとまっている、直接見に行けない場所の画像を見ることができるといったメリットがあり、重宝しているそうだ。

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