授業実践リポート ICT活用&情報教育

石川県 金沢市立大徳小学校

第20回キューブ活用コンテストグランプリ受賞校

常に読み手を意識しながら

わが町の魅力を発信するツール作り

受賞者 6年生のみなさん
指導された先生 石尾 雄介 先生、坂井 伸行 先生、袴谷 美弥 先生、山口 眞希 先生
活動の時間 国語・総合的な学習の時間
活動の概要 歴史探訪で見つけた金沢の魅力をまとめたパンフレット
活用アプリ キューブきっず「リーフレット」

〈キューブきっずシリーズ〉活用事例

第20回 キューブ活用コンテスト受賞結果 はこちら

2018/06掲載
※記載の情報は取材当時のものです。

6年1組 担任 石尾 雄介 先生

6年2組 担任 坂井 伸行 先生

6年3組 担任 袴谷 美弥 先生

6年4組 担任 山口 眞希 先生

学年全体で受賞できたことがうれしかった!(袴谷先生)

 今回、見事グランプリを受賞されたのは、金沢市立大徳小学校6年生のみなさんと担任の石尾雄介先生、坂井伸行先生、袴谷美弥先生、山口眞希先生。山口先生は第18回キューブ活用コンテストでもグランプリを受賞されており、今回で2回目の受賞となる。
 受賞作品は、観光客に向けて金沢の魅力を発信するために作成したパンフレットだ。石尾先生は受賞の喜びについて「私自身がグランプリという賞が初めてで、子どもたちを頼もしく感じます」とのこと。受賞された作品と活動について先生方にお話を伺った。

実際に出かけて、見たこと、聞いて学んだことを元にまとめる

 加賀百万石の城下町として、風情ある街並みや歴史・文化に惹かれて国内外から訪れる人が絶えない金沢。そんな有数の観光地を郷土とする大徳小学校らしい取り組みが今回のパンフレット作りからうかがえる。
 パンフレットの完成は2017年12月だったが、活動のスタートは4月。秋の「歴史探訪」に向けて下調べから着手した。歴史文化都市として発展してきたわが町の魅力を見つけに、子どもたち自身が出かける「歴史探訪」。観光ボランティアガイド「まいどさん」と一緒に名所を巡りながら、既存のパンフレットには載っていない情報を集め、自分がどう感じたかを持ち帰ってくる。出発前には先生方から、町のプロである「まいどさん」の生の声や豆知識を聞き漏らさないようにメモのアドバイスもあった。町を見て学び、聞いて学ぶ体験である。自分でその場に足を運んで体感し、見聞きしたからできる表現は伝える力も大きいはずだ。
 また夏休みの間には、「歴史探訪」の資料にするパンフレット集めも実施。行き先の情報収集だけでなく、パンフレットを見て制作のプロがどんな工夫をしているのか、子どもたちなりに分析しながら学んでいく。袴谷先生は「子どもたちとキャッチフレーズや写真の使い方を見ながら、こういうの素敵やねと話し合うことも有意義でした」と振り返る。

読み手を意識して、インパクトを与える表現を工夫

観光ボランティアガイド「まいどさん」の説明をメモを取りながら聞く

<キューブきっず>でパンフレット作成。様々な機能を使って金沢らしい表現にこだわる

グループでパンフレットの表現を何度も推敲する

 パンフレット作成の活動で子どもたちに身に付けさせたい力について、山口先生に伺った。「1つは書く力ですね。読み手が『行きたい!』と思える言葉で文章全体を効果的に書く力です。そしてもう1つは協働です。友達と知恵を出し合いながら、グループで1つの物を作ること。この2つを目指しました」。
 では具体的にどのような指導が行われたのだろう。第1に、「読み手が行ってみたくなる」文章、見出し、写真を選択すること。袴谷先生は「正確には、既に観光客として来てくださっている方にお渡ししますので、『もう1回来たくなるパンフレット』を意識するように促しました」という。
 第2に、「歴史探訪」での実体験や実感から得た表現にすること。第3に、お誘いの表現として「金沢に来ませんか」という語りかけをすること。第4に、他には載っていない情報を見聞きして集めること。そして第5は、試作した作品を子どもたちが客観的に見ながら「金沢の魅力が表現できているかな。金沢の魅力って何だろう」と自問自答すること。
 石尾先生は「やはり最初は幼い言葉やデザインになりがちでした。でも、金沢らしい色づかいとはどんなものだろうとか、上品なテイストってどんな感じかなとか、自分達で一生懸命考えながら修正していったんです。それからうちのクラスの場合、山口先生のクラスの作品を見たことも、いい刺激になったようです。当初は、調べたことをめいっぱい入れたくて内容を詰め込み過ぎたのですが、他のクラスの作品から『読み手に伝わる』という視点を感じとって、『これ(山口先生のクラスの作品)を超えたい!』と言っていました」と、その様子を語る表情はどこか誇らしげだ。

グランプリ作品の一部をご紹介

 山口先生は応募した際に、「もしかしたらグランプリがとれるかもしれない」と感じたそうだ。「それは作品の出来映えが相当良かったからなんです。なぜクオリティの高いものができたかと考えると、①良いものをたくさん見たから②とことん話し合って決めたから③何度も修正して、何度も推敲を重ねたから④相手を想定して『いいものを作りたい』という強い気持ちがあったから、だと思います」。


能動的なコミュニケーションへ発展。ICTの活用で創造的な活動へ

JR金沢駅でのパンフレット配布の様子。
外国からの観光客には英語で説明した

 今回作成したパンフレットをJR金沢駅で配布できることが決まると、子どもたちからは「外国の人には何て伝えて渡そうか」「会話したい!」という言葉が出てきたそうだ。自分たちが作ったパンフレットを通じて、能動的にコミュニケーションをとろうという思いがあふれてきたのだという。
 日頃から「多様な考えを受け入れながら、人と関わって成長すること」を大切にされている同校。パンフレット作りの活動によって、子ども同士、町の人、まいどさん、そして観光で訪れる人々へとつながりが広がっていく様子からも、新学習指導要領に示されている「社会に開かれた教育課程」を意識した授業デザインとなっていることが伺える。
 同校のICT環境の整備はまだまだこれからという山口先生。「それでもPTAのご尽力によって2018年度から全教室のアナログテレビがデジタルテレビに切り替わるため、タブレットで撮影した委員会活動の写真や動画を校内放送で見てもらうなど、創造的な活動にもっと取り組んでいくことができるはずです」と明るい展望も語ってくれた。

直感的に使える楽しさで子どもたちが自立して制作活動

 坂井先生が<キューブきっず>の使用感について、「面倒そうな写真の加工も直感的にポンと押すだけですし、ひらがな表示なので低学年でも使いやすいように思いました」と振り返れば、石尾先生も「作成があまり得意ではない子どもはテンプレートから選ぶだけで進めますし、得意な子はゼロから作ることができますね。パソコンでの指導が初めてでしたが、子どもたちだけですごく楽しそうに作成していて、操作方法を聞かれることはほとんどありませんでした」という。

キューブきっず <リーフレット>の機能

画像加工
トリミングやぼかしなど、ワンクリックで加工できる

テンプレート
あらかじめ用意されたテンプレートから選ぶこともできる

子どもたちにインタビュー

左から榊原くん、梶くん、安田さん、山本さん

 実際にパンフレットを作成した6年生に話を聞きました。
 クラスを代表して答えてくれたのは、榊原巧明くん(1組)、山本佳歩さん(2組)、安田心咲さん(3組)、梶隆一郎くん(4組)。

グランプリ受賞の感想を聞かせてください。

榊原くん 1800人以上の応募だと聞いて無理かなと思っていましたが、みんなで工夫してがんばったことで賞をとれたのがうれしかったです。
梶くん 1カ月かけて試行錯誤して作ったので、たくさんの応募作品の中から受賞できたのがとてもうれしかったです。
安田さん 金沢の魅力について、実際に自分たちで行ったからこそ作れるパンフレットだったので、とてもうれしいです。
山本さん 初めて聞いたときはびっくりしましたが、小学校最後の年に賞をとれたことがうれしかったです。

どのようなところを工夫しましたか。

榊原くん 読み手を飽きさせないように字のフォントや用紙の色を考えました。他のグループは用紙を白にすると思って、黒をベースにしたら狙いどおりでした。
梶くん 班の中で意見を出して、伝わりやすくなるように色や文にこだわりました。日本語と英語をどう組み合わせたらいいかも考えたので、いい感じになりました。
安田さん クラスで裏表紙の色を同じにして統一感を出しました。それからキャラクターも登場させて読み手を引きつけるようにしました。
山本さん 金沢の魅力全開!となるように、写真と文を組み合わせて魅力を強調しましたし、お互いにアドバイスし合って作りました。

「キューブきっず」を使ってみてどうでしたか。

榊原くん 他のソフトよりも使いやすいのに、他のソフトと同じことができて、機能が豊富だなと思いました。
梶くん 和の雰囲気が出せる明朝体があって使いやすかったです。写真もぼかしの機能で和のイメージができました。
安田さん 壁紙の色、図形など、選びたい色や形をすぐに探すことができて、写真もいろいろな加工ができて面白かったです。
山本さん すごく便利でした。文字のパターンがたくさんあって強調できたり、写真をキラっとさせて引き立たせたり、囲みを使って見やすくすることもできました。

ページのトップへ戻る

スズキ教育ソフト