授業実践リポート ICT活用&情報教育

三重県 南伊勢町立南勢小学校

プログラミング教育実践事例③

子どもたち主体で学ぶプログラミングの授業

授業者:校長 中村 武弘 先生

教科:4年1組 総合的な学習の時間

使用したソフト

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 今回、授業の見学に訪れたのは、南伊勢町立南勢小学校。総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業の実証校にも選ばれ、プログラミング教育にも先進的に取り組んでいる。
 授業を受ける4年1組の児童34名にとってプログラミングの授業は初めてだ。指導は同校校長の中村武弘先生が担当する。

2018/06掲載
※記載の情報は取材時のものです。

授業の概要

 今回の授業では、総合的な学習の時間を使い、2時間で基本的なプログラミングの仕組みを学ぶ。課題をクリア出来たら、実際にロボットを動かすことになっており、子どもたちは期待に胸を膨らませていた。
 2人で1台のPCを使い、<ぴたっと!プログラミング>の第一章を読み進めながら、ストーリーに沿ってプログラミングの仕組みを学習していく。学習の進行は子どもたちに任せ、中村先生は机間指導をしながら、子どもたちの様子を見て回る。

授業の流れ

予想をワークシートに書いて整理

「順次」を学ぶ

 まずはロボットが握手をする動きの命令ブロックを動かして実行し、ロボットの動きの変化を確かめながら、「順次」について学ぶ。

ロボットの動きを見る子どもたち

「分岐」「反復」を学ぶ

 ロボットが服の種類によって持って行く場所を変えるアニメーションを見ながら、プログラムがどのように組まれているのか確認し、「分岐処理」や「反復処理」について学ぶ。

2人で相談しながらプログラムを作成

実際にプログラムを作成する

 命令ブロックを組み合わせて、ロボットにお風呂掃除をさせるプログラムを作成する。

指導のポイント

同じブロックをいくつも組み込んだプログラムと反復の記号を使ったプログラム

より効率的なやり方があることに気付かせる

 中村先生は授業の途中で、同じブロックをいくつも組み合わせているプログラムと、「反復」の記号を使って命令を簡潔にまとめているプログラムを提示した。2つのプログラムをクラス全体で比較することで、より効率的なプログラムを組むよさに気付かせた。

インタビュー

実際のお風呂掃除の手順を知っている児童がアドバイスする

南伊勢町立南勢小学校 校長 中村 武弘 先生

普段あまり授業に積極的でない児童からの質問が多かった

Q. 今回、<ぴたっと!プログラミング>を使って指導をされてみて、 いかがでしたか。
A. 指導をする中でも印象的だったのは、普段あまり授業に積極的でない児童からの質問が多かったことです。質問ができるということは課題にのめり込んでいるということです。プログラミングの授業は男子児童からの人気が高いのですが、今回は題材がお風呂掃除であったこともあり、家庭でお手伝いの経験がある女子児童が積極的にアドバイスをする姿も見られ、全員が関わりながら学んでいくことができたと思います。
 用意された小さな課題に一つひとつ挑戦していく<ぴたっと!プログラミング>の構成が達成感を感じやすかったのか、休み時間に入っても熱心に取り組んでいました。ようやく納得のいくプログラムを作ることができたペアからは歓声があがっていました。そういった光景が授業で見られることはとても良いことだと思います。

プログラミング教育で養われる力は、キャリア教育にも繋がっていく

Q. プログラミング教育は、その後、どのように役に立ってくるのでしょうか。
A. プログラミング教育は算数・数学における論理的な考え方に繋がることはもちろんのこと、生活科や総合的な学習の時間、さらには、学校で行われる課外活動や生活一般の活動全てに繋がると思います。プログラミング教育の課題に取り組む中で達成感や失敗を味わったり、友達と意見を交換しながら試行錯誤を重ねたりすることは、社会や日常生活の様々なシーンに通じることなのです。いろいろな技能を持った人と繋がりながら仕事をすることが求められるこれからの社会では、何をするにも、自分たちで計画し、他の人と協力して物事を進めていく力が必要になると思います。プログラミング教育で養われる力は、キャリア教育にも繋がっていくと私は思っています。

先生がプログラミングの全てを知っている必要はない

Q. 初めてプログラミング教育をされる先生方へのアドバイスをお願いします。
A. 私も最初は「本当に学校でプログラミング教育をするのか」と戸惑いましたが、せっかく必修化されるのですから、これから子どもたちが生活していく上で必要な能力をしっかりと育ててあげることが大切だと思います。
 まずは教師自身がプログラミング教育の必要性をよく理解することです。必要感を明確にもっているかどうかによって、子どもたちと接する中で投げかける言葉が変わってくるのではないでしょうか。
 先生がプログラミングの全てを知っている必要はないと思います。子どもたちから出てくる様々なパターンに対して、「そういう風に考えられてすごいな」と認めていってあげるだけで、子どもたちは伸びていくと思います。教師が恐れて取り組まなかったら、子どもたちはたくさんのことを吸収できる大切な時間を何もせずに過ごしてしまうことになります。失敗を恐れず、まずは一歩踏み出してみることです。

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