コドモチョウナイカイ
コドモチョウナイカイは、社会教育として4歳~小学校低学年までの子どもたちを対象に、「お祭り」のデザインを通して、「社会性」を養うワークショッププログラムである。2014年から活動を開始。国際バカロレア初等教育プログラムの教員から監修を受け、協働的な学習に重点を置いた内容となっている。
今回は、2015年9月26日に開催されたワークショップの様子を取材した。2015年のテーマは、「みんなでSHIBAURAどうぶつえんをつくろう!」。子どもたちは前回までに、2人1組で「いきもの」をデザインしていた。今回は、3~4人のグループでの活動。iPadを使って自分たちが考えた生き物を紹介する「ずかん」をつくる。
スケッチやメモで思考の可視化
共有したイメージを段ボールや紙で具現化
①付せんでブレーンストーミング
「ずかんにはどんなことが書いてあるかな?」というファシリテーターの問いかけに、子どもたちは「すんでいるところ」「大きさ」「食べているもの」「なきごえ」と次々に答える。答えは、付せんに書き出していく。
ファシリテーターは、「お友だちのつくったいきものについてどんなことを知りたい?」と角度を変えた質問を投げかけ、さらに意見を引き出す。
②伝わる写真を撮ろう
いよいよiPadを使っての撮影。「ずかん」に載せる内容を考えながら、みんなで協力して「いきもの」の写真を撮る。
角度をつけて、「いきもの」がより魅力的に写るように工夫する。気分はカメラマン!
「どんなところにすんでいるのかな?」会場内を探検したり、素材を使ったりして、「いきもの」のすみかを表現。
③撮った写真で「ずかん」をつくろう
「ずかん」は、iPad用学習支援ツール<QBプレゼン>を使ってつくる。どの写真を使ったら伝わるか、考えて選んでいく。選んだ写真をスライドに貼り付け、手書きの文字で説明文を添えた。
「なぜその写真を選んだの?」ファシリテーターは、子どもたちの活動にさりげなくアドバイスしたり、意見を言葉にすることを促したりする。なるべく過度な干渉や誘導をしないよう、注意を払う。
小学生未満の子どもたちも、カメラ機能はもちろん、初めて触る<QBプレゼン>をすぐに使いこなす。大きな画面に映して発表会の練習。
④いよいよ「ずかん」の発表会!
各グループでつくった「ずかん」を大型モニターに投影して発表する。
画面を示しながら「いきもの」の説明をする。友だちの発表はみんなで聞く。
子どもたちがつくった「ずかん」は、「いきもの」の特徴を十分に伝えるものになっていた。
コドモチョウナイカイ代表 式地 香織 氏 (建築家/女子美術大学・日本大学非常勤講師)
代表の式地香織氏は、自身が学んできたデザインや建築の考え方が、教育にも役立つのではと思い、コドモチョウナイカイを発足させた。
「子どもと社会が出会う場所はどこか、と考えたときに、思い浮かんだのが地域のお祭りでした。色んな世代の人たちが集まってきて、『お祭り』という目的を共有して打ち解けていく様子が、まさに子どもたちに身に付けてほしい『社会性』にぴったりマッチしました。そのイメージから『チョウナイカイ』と名付けています」と、コドモチョウナイカイというネーミングの由来を語ってくれた。
SNSでコドモチョウナイカイのコンセプトを紹介したところ、共感したメンバーが集まったという。普段は広告、アパレル、建築、グラフィック等のデザイン関係の仕事に携わり、地域活動や教育活動に係わっている方もいるそうだ。
初年度の2014年は、そのコンセプトのとおり、皆でお祭りをつくりあげた。メンバーをはじめ、参加する保護者からの提案も積極的に取り入れ、さらなるプログラムの充実をめざす。2016年は、「わくせいSHIBAURA」と題したプログラムで展開されている。
コドモチョウナイカイの詳細はこちら
https://www.facebook.com/kodomochounaikai