授業実践リポート ICT活用&情報教育

福岡県 福岡市立板付中学校

「生徒がイキイキとする授業」をめざして!

 中学校技術分野での「キューブ」活用

活用のポイント

①実社会を意識した指導。

②メールの書き方をとして文章指導。

③メール活用で、生徒とコミュニケーション。

④技術科でも『伝える力』を育成。

〈キューブNextシリーズ〉活用事例

2013/09掲載

技術科の辻さやか先生にお話を伺いました。

福岡空港の西側、博多区にある福岡市立板付中学校。
中学校向け教育用統合ソフト『キューブNext』を使い、アイデア溢れる実践がされている。
技術科を担当している辻さやか先生に、キューブの活用についてお話を伺った。

『キューブメール』で実社会を意識した指導を

技術科の授業は、先生のメールを見て、今日の授業内容や前回の提出物の評価を確認することから始まる。

 辻先生は、同校の全学年の技術科を担当されている。多くの生徒を抱えているのにも関わらず、全生徒とコミュニケーションが取れている。キューブに搭載されているメール機能『キューブメール』を活用しているためである。
 『キューブメール』は、技術科における「情報」指導の一環として活用している。生徒は、授業の初めに、先ずパスワードを入力してログインし、先生からのメールで今日の授業内容や前回の提出物の評価を確認する。企業でのメール活用を意識した技術科授業開始時の約束事である。
 辻先生は「実際に企業が行っている仕組みをまねることで、社会にでてからも授業で行っていることを活かしてほしい。」と言う。最初は戸惑っている生徒も、2~3回すると慣れ、今ではそれが「当たり前のようになっている。」とのことである。
 さらに、メールで行っている生徒の自己評価や成果物の提出について、このメールの内容も評価の対象にしている。評価項目は「メールの書き方」、「授業内容の理解」で、これらを評価して生徒に返信している。

「メールの書き方」を通して文章指導

メールにより生徒とのコミュニケーションを図っている。

 携帯電話に慣れ親しんだ生徒たちのメールには、特徴がある。中には、顔文字だらけというメールを送ってくる生徒もいるとのこと。辻先生は、文章を書くことを基本的なスキルとして重点を置いている。ここでも、文章指導をすることで、「実社会に出た時に活きるようにしたい。」という先生の思いがある。
 さらに、携帯電話とパソコンのメールの違いも意識し、携帯電話のメールなら「短く、要点を伝えるように。」、パソコンのメールなら「正確に伝わるにように丁寧に。」と手段によって使い分ける指導もしている。相手に伝える力の育成を考えてのことだ。

「授業内容の理解」の評価も『キューブメール』で簡単に

 辻先生は、授業前は授業内容のメールと共に、小テストなどを送り、授業後は小テストや生徒が作成したプレゼンなどの成果物を、メールに添付させて提出させている。限られた授業時数や時間の中で、成果物を効率的に収集したり、評価を生徒に返信したりできる。指導する側として、今では手放せない機能である。

生徒とのコミュニケーションも『キューブメール』で

 先生が『キューブメール』を活用する理由はそれだけではない。「生徒全員とコミュニケーションが図れる。これが大きいのです。」と辻先生は言う。「活発な生徒は、自ら教師に対してコミュニケーションを図ってくるのに対し、どちらかと言えば内気な生徒は、メールを利用することでコミュニケーションを図ることができます。」例えば、活発な生徒はわからないことがあると積極的に質問してくるが、内気な生徒は、聞きたいことがあってもなかなか手を挙げない。そこで、メールで質問を受け、それに回答する。気になる子がいたら次の授業時に一番に声をかける。
 全生徒とコミュニケーションを行うことで、学習状況の把握やその生徒のことを知ることができ、指導まで行うこともできる。生徒だけでなく教師にとっても有効な機能である。

『キューブ新聞』を使って技術科でも新聞作成

 辻先生は、技術科でも新聞作成をとりいれている。1年生は、「ものづくり」が終了すると「まとめ」で新聞の作成をする。以前は、ワープロでレポートを作成したが、表現方法に限界があり、生徒たちもあまり熱心に取り組まなかった。
 辻先生は、生徒の情報活用能力を高めたかったこともあり、総合や社会科で新聞を作成していたことをヒントに、技術科に取り入れられないかと実践したのだ。新聞は、見出しやカコミなど、もともと基本となるテンプレートがある。その中で自分の経験したことを、いかに相手に伝えるか、ということを生徒自らに考えさせることが狙いである。『情報活用能力』の中でも、特に『伝える力』の育成につなげたいと辻先生は考えている。
 生徒も、新聞作成を通して、限られた1ページの中で「どうすれば伝わるか」を考えるようになった。またレポートでは、わざわざページをめくって読み返したりすることはあまりなかったが、新聞で作成するようにしてからは、友達の「まとめ」まで目を通すようになったとのことである。
 辻先生は、新聞作成についてこのように言う。
 「新聞を作成することは、技術科で行うことではないかも知れません。しかし、新聞の作成には、デジタル画像の加工や著作権、肖像権に関する情報モラルなど、様々な技術科的な要素が含まれています。その意味で、『相手に伝える』、という能力を育成するには、非常に有効な方法だと思っています。」

 実社会を意識したメール活用、伝える力を育成する新聞作成など、「キューブ」は、アイデア溢れる授業で活用されていた。
 最後に辻先生は「キューブを使うようになって、生徒がイキイキと活動する場面が増えてきました。」と笑顔で語ってくれた。

「技術科は、中学校が最後の教科です。社会に出た時に生徒たちが『技術科で学んで良かった』、『とても役にたった』と思ってもらえたら良いなと思っていつも授業をしています。」

1年生で作成する本棚、ラック

ものづくりの「まとめ」を
『キューブ新聞』で作成

   

「ものづくり」(本棚、ラックの作成など)が終わったら、
●作った動機 ●使った材料 ●使った工具
●工程 ●苦労したところ ●使った感想
などを『キューブ新聞』でまとめる。
写真やイラストも使い、「伝える」意識がより深まる。
ネットや本から得た情報には必ず引用先を明記させる。

写真は班ごとにカメラを持たせ
①自分と作品
②実際使っている雰囲気で
③最も美しく見える角度から
の、3枚を撮らせ、必要に応じて使わせている。

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