授業実践リポート ICT活用&情報教育

石川県 金沢市立小坂小学校

第15回キューブ活用コンテストグランプリ受賞校

 

「飼育の仕事」の誇りと動物たちへの愛着を胸に

どうすれば「伝わるか」を考えて、

 飼育の仕事を紹介する「リーフレット」を作成

 

4年生 国語 「仕事リーフレットを作ろう」
作品タイトル 「飼育の仕事」
〈キューブきっずシリーズ〉活用事例

2013/09掲載


 今回グランプリを獲得したのは、石川県金沢市の東部に位置する金沢市立小坂小学校。閑静な街の中に元気な子どもたちの声が響く「笑顔いっぱいの学校」(学校だより)である。4年4組のみんなが「3年生に伝える飼育の仕事」をテーマに、3人1組でグループを作り、リーフレットを作成した。

 担任の嶝(さこ)麻衣子先生は、グランプリを受賞して「本当にうれしいです。」と笑顔で喜びを語ってくれた。子どもたちといっしょに作り上げてきただけに、その喜びもひとしおの様である。今回のリーフレットは、「3年生に飼育の仕事を紹介する」ことがテーマだった。小坂小学校では、4年生になると1年間飼育小屋の動物たちの世話をすることになっている。その仕事の内容を3年生に伝えることが目的の活動だ。

どうすれば「伝えたいことが伝わるか」。相手意識を持たせる!

 子どもたちに考えさせたのが、どうすれば3年生に「伝えたいことが伝わるか」であった。子どもたちに「相手意識」を持たせ、「伝え方」について考えさせることを目的としたものだが、この単元計画を作ることが、一番苦労されたとのことだった。

3人一組のグループで話し合う。
3年生に飼育の仕事を伝えるために、どうすれば良いのか、紹介の文章を練り上げる。

 嶝先生は、まず、文章を練り上げさせ、次に写真を撮影させることにした。「子どもたちは、『晴れの日と雨の日』とか『楽しいことと大変なこと』など、グループごとにテーマを決めました。このような『伝えたい』テーマがあったうえで、それに合う写真を撮影する方がスムーズにいくと思いました。そこで、まず文章を書かせることにしました。」と振り返る。3人で『伝えたいこと』を文章にし、『伝えたいこと』が一番わかる写真を撮影する。もし、『伝えたいこと』が曖昧なまま写真撮影をしていたら、どうだろうか。3人それぞれの解釈になり、グループで『伝えたいこと』がまとまらなかったかも知れない。こういった判断も、小坂小学校が一昨年よりグループ活動にも力をいれていることから導き出されているようだ。

◎どうすれば「伝えたいことが伝わるか」。「対比」を意識させる!

容器に餌が入っている写真。
「餌の量が少ないと大変だということを3年生に伝えたい。」

 嶝先生は、例えば「大変なこと」と「楽しいこと」や、「晴れの日のこと」と「雨の日のこと」というように、「対比」を意識して指導している。アップとルーズの対比だけでなく、「何を伝えるのか」を重点においた結果だ。その結果、グループによっては、あえて「アップ」と「アップ」の写真を掲載したリーフレットを作成した。

 嶝先生は、こんなことを話してくれた。容器に餌が入っている写真が、あまりきれいでなかったので、「もっときれいな写真にしたら?」と言ったのだが、子どもから「餌の量が少ないと、死んでしまうので大変だということを3年生に伝えたい。」と言われ納得したとのこと。子どもたちが、「教えられた『対比』だけでなく、自分で『相手を意識して伝えたい』ことをしっかり考えている。」と実感したとのことであった。

◎「伝えたいことが伝わらない」体験がリーフレットの作成につながっている。

3人で文章を練る時に、話し合ったことをホワイトボードに書き出していく。

 子どもたちは、初めから「相手意識」を持っていたわけではない。リーフレット作成の前に、「新聞の写真を選ぼう」という学習をしたが、その時、子どもたちは、自分が伝えたいことがなかなか相手に伝わらない、という体験をした。子どもたちは、「その体験から、どうしたら相手に伝わるのかを考えるようになりました。」とのことだ。そういった経験を活かして今回のリーフレット作成につながっている。子どもたちは、写真撮影の時から「どうすれば伝わりやすいか」を考え、様々な試みをしていたそうだ。

嶝先生は最後に「子どもたちから『リーフレットが完成した時、達成感があった』、『文章を書く力がついた』といった言葉が出た時、本当に良かったと思いました。」と子どもたちの成長の手ごたえを語ってくれた。

西田 政人 校長先生

本校は、2年前より小集団活動に取り組んでいます。子どもたちが意欲的に取り組む、お互いにフォローしあえる。そういう関係をつくる機会を用意しています。嶝先生の授業もそういう取り組みから生まれた、すばらしい実践だと思います。

嶝 麻衣子 先生

今回のテーマは、子どもたちが自分達で選んだものでした。 「3年生に伝えたい」という強い思いがあったからこそ、みんなで協力しあって作成することができたと思います。

4年4組のみんなにインタビュー!

応募時の作品アピール
リーフレットをつくるとき、どうすれば3年生に伝わるかがんばって考えました。
1人1人の3年生へのメッセージに注目してください。
完成したとき、達成感があってよかったです。

4年4組(30名)10班の力作が勢揃い!
裏表紙には、3年生への激励の言葉が書かれている。
「3年生へ、飼育リーフレットに書いてある通りにちゃんとやくそくを守って楽しい飼育にしてくださいね。」
「飼育の仕事は、すごく大変なので、がんばってください。けれど、すごく楽しいので、やりがいは、あるとおもいます。」

中面には、動物を飼育する時のノウハウが分かりやすく、書かれている。写真は「対比」を意識して撮られている。
「生野菜は、ある分だけ入れて、エサと水の皿をきれいにあらって、皿の半分まで入れます。そうじで出たゴミをゴミぶくろに入れて、ゴミステーションに持っていきます。」
「雨の日は、水たまりをうめます。ウサギ、チャボ、ウコッケイがきたなくなってしまうから、水たまりをうめます。」

リーフレットを作る時に大変だったことは、何ですか?

・写真を撮影する時に、どうすれば3年生に伝わるのか考えたのが大変でした。

・文の内容を考えるのが大変でした。

・わかりやすく文を書くのが難しかったです。

作ってみて、良かったことは、何ですか?

・3年生に伝わるように写真が撮影できてよかったです。

・3年生に伝わるような文が書けてよかったです。

・作り終わっての達成感がよかったです。

・3年生に飼育の仕事の楽しいこと、大変なことを伝えることができたことがよかったです。

・アップとルーズで表現出来たのでよかったです。

もし、全て手書きで作成していたら、どうだったと思いますか?

・もし手書きで作成していたら、レイアウトがきれいに出来ず難しかったと思います。

・写真だと3年生に伝わりやすいと思うけど、絵だと伝わりにくいと思います。

1人で全部作成していたら、どうだったと思いますか?

・3人で作成したのでアイデアが浮かばない時もみんなで話し合って作成することができました。もし1人で作成していたら、こういう時に難しくなっていたと思います。

・1人よりも3人で作成したほうが、様々な意見が出るのでより3年生に伝わりやすいリーフレットが作成できたと思います。

・1人で文を作成するよりも3人で作成したほうが、3年生に伝わりやすい文を書くことができると思いました。

・1人よりも3人で協力して作成したので、完成したときの達成感をみんなで感じてよかったです。

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