浜松市教育委員会
浜松市教育委員会 インタビュー
“校務の情報化”推進は、
「充実した授業のための時間」を
確保するための取り組みです。
人口82万人、156校の小・中学校を擁する政令指定都市静岡県浜松市。平成22年度より、市内全校で校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉の運用が一斉にスタートした。これまでの歩みと“校務の情報化”推進への想いについて、お話を伺った。
“校務作業の負担は確実に減っています。”
学校教育部 指導課 副参事
瀧口 裕章
“初年度からスムーズな運用をはじめることができました。”
天竜川・浜名湖地区
総合教育センター 指導主事
白井 伸博
“子ども第一”の考えで必要なものを整えたい。
学校教育部 学校施設課
教材グループ長 主幹
苗村 英哉
“校務の情報化”見直しの機運が高まってきました
―――浜松市では、全国的にも早い時期に、校務用PCが導入されたようですね。
白井 平成14年度には、市内の学校に教員一人一台の体制が整っていました。学習用PCの整備も全国的に見て比較的早かったと思いますが、地域性として、新しいことに取り組んでいこうとする意欲がとても高いと思います。
瀧口 この地域特有の「やらまいか※」精神が発揮されているのだと思います(笑)。“校務の情報化”の取り組みとしては、メールの活用や汎用表計算ソフトによる校務処理、書類の電子化等が行われるようになりました。
白井 ほぼ100%に近い学校が汎用表計算ソフトにより「通知表」を電子化していましたが、運用していく中で不具合が生じてきました。
例えば “マクロ”の対応問題やPCに詳しい先生に頼ることによる負担感、さらには拡張性、継承性、情報セキュリティの問題など。そこで、行政、学校現場双方から見直しの機運が高まっていったのです。
苗村 国による学校等の情報化予算(平成21年度補正予算)を受ける際に、電子黒板や各教室1台のコンピューター等の他に、校務支援システムも導入候補に挙げ、学校現場の先生方とともに1年間の評価運用などを経て、ソフトの選定を行いました。
瀧口 学校現場からの要望を受けて、できる限り使いやすいものを提供しようと考え、最終的には校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉の導入が実現しました。今年度は段階的な導入として、〈名簿情報管理〉〈成績処理〉〈通知表作成〉の3つのソフトを市内全校に導入・運用しています。
※ 「やってみようじゃないか」の意
モニター運用・研修を経て、初年度からスムーズな運用
―――実際に運用がはじまって、今、どのような実感がありますか。
瀧口 サーバーに一元化された情報の“共有”と“再利用”がもたらす恩恵は大きく、効率的な運用と、それまでの「転記、転記…」にともなう作業と、ミスの軽減により、校務作業の負担は確実に減っています。
例えば、「指導要録」がシステム化した場合、その作成にかかる時間は大幅に圧縮できます。総学級数約2,280の浜松市において積算すると、それは膨大な時間になります。こうした時間を、本来あるべき教科研究や子どもたちと向き合う時間に充てていければと思っています。そして、単に時間の問題だけでなく、転記ミスに神経を使うような負担からも開放されるのです。
白井 市内一括導入のメリットは、教職員がどこの学校に異動しても同じシステムがあり、すぐに活用できることです。精神的、作業的な負担感は、大きく軽減されます。
苗村 1学期が終了した段階で、操作やシステムなどの混乱は、ほとんど無かったようでした。こうしたシステムは、現場と共に成長し、歩んでいくことができるものであることが重要であると感じています。
白井 一昨年度のモニター校による評価運用での結果も心強かったですし、導入前研修などを経て新年度を迎えた中、スムーズに運用が進んだことは大きな成果です。市内の先生方が安心して活用できるシステムであったことが証明されました。さらに、〈スズキ校務シリーズ〉はサーバーで大切な情報を一元化しているので、情報セキュリティ確保の面で安心です。
瀧口 段階的に導入・運用ができるのも〈スズキ校務シリーズ〉の大きいポイントだと思います。次年度以降、「出欠席情報管理」や「指導要録作成」なども含めた情報化の対応が広がり、進むことで、さらに“掛け算式”に校務の効率化が進展すると確信しています。
苗村 学校施設課でも、“子ども第一”と考えています。現場の声を大切にして必要なものを優先的に整えていくことで、先生方の校務の負担が軽減されることに期待しています。
―――本日は、ありがとうございました。
浜松市“校務の情報化”の流れ
校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉により、情報の一元化と共有化が実現。導入初年度からスムーズな運用が開始され、校務の効率化が図られた。
平成20年度 スズキ校務シリーズ
評価運用校 アンケート結果
平成20年度の1年間にわたり、浜松市内の小・中学校6校で評価運用を実施しました。その後、運用校の先生112名に対して行ったアンケートの結果です。
[対象期間] 平成20 年度(通年) 対象学校数 市内小・中学校計6校
[回答者数] 112 名
「使いやすさ」の評価
90%の先生より、「とても使いやすい」または「少し慣れを必要としたが概ね使いやすかった」の評価をいただきました。
「校務の情報化」への効果
評価運用を開始した初年度は移行に伴う負担も少なくない との予想に反し、好評価をいただきました。