授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

香川県 丸亀市立城北小学校

授業風景

普段の授業で、日常の校務で、

ICTの効果的な活用と運用を推進

 

4年生 総合的な学習の時間

〈キューブシリーズ〉活用事例 
〈スズキ校務シリーズ〉導入事例   

2009/10掲載

 

われら土器川探検隊!

キューブプレゼン
作成途中のキューブプレゼンの画面。

 

授業風景 コンピュータ室で子どもたちにアドバイスする増井先生。常に子どもたちをやさしく見守る。先生が直接作業を手伝う場面はなく、あくまでも子どもたちが自主的にパソコンを操作してアイデアを表現していた。

 

 

 9月上旬、香川県丸亀市にある城北小学校の4年白組では、「総合」の学習が行われていた。

 地域を流れる土器川について調査したことを2人1組でまとめる学習活動は終盤にさしかかり、2時間続きのこの日の「総合」では、まとめから発表練習まで、各グループごとに活動が進められた。授業風景

 4年生の段階で、「2人1組」のグループを形成すると子どもには少なからず負担がかかるように思われるが、実際に目の前で活動する子どもたちは、お互いによく協力し合い、また作業を分担し、多少の進度の差はあるものの、全員が責任を持って作業に取り組んでいる姿勢が伺える。

 教室とコンピュータ室が近かったこともあり、まとめ作業をするグループはコンピュータ室に行き、発表練習をするグループは教室内のコンピュータを活用してプレゼンテーションの練習を繰り返していた。そして、練習途中で修正があれば、即座にコンピュータ室に移動して画面を修正するなど、子どもたちは自主的に行動していく。
 その子どもたちが操作しているのは〈キューブ〉。キューブプレゼン上の編集作業においても、また、プレゼン発表に際しても、子どもたちの操作修得度の高さが印象的であった。

授業風景 授業風景 

 

〈キューコン〉で見事グランプリ獲得

第11回〈キューブ活用コンテスト〉グランプリを受賞した作品の一部

新聞作成
「新聞作成」を活用した作品

キューブプロジェクタ
「電子紙芝居」を活用した作品

 

 4年白組担任の増井泰弘先生によれば、「昨年度、私がこの学校に着任した時、十分なコンピュータ設備が整っていたのに対して、活用頻度が少し足りないという印象を持ちました。そこで、受け持った3年生を中心に積極的に活用場面をつくっていきました。」とのこと。

 まず、〈キューブきっず〉の「キューブペイント」でお絵かきをはじめ、続いて夏休み前からは〈キーボー島アドベンチャー〉でキーボード入力の練習に取り組み、その上達を目指した後、9月には絵日記を描くようになったという。

 そして、冬には「電子紙芝居」で作品をつくり、同時に「新聞作成」を活用して地域の良さを伝えることをテーマとした作品を〈キューコン〉に応募したところ、見事グランプリを獲得したのである。

 「昨年度中に、基本的なパソコンの操作はクリアしたと感じました。そこで、今年度は、当初から絵日記をパソコンで作成するなど、子どもたちに日常的にコンピュータに接する機会を与えています。そして今、『われら土器川探検隊』という調べ学習に際して、「キューブプレゼン」を活用してグループでまとめ、発表する学習に取り組んでいるところです。」と、増井先生はこれまでの経過を振り返った。

 

どう伝えるかをお互いが学び合っていく

授業風景

 

授業風景

 

 

 

 

 同校の教育目標としては、『伝える、聞く、学び合う』が掲げられている。増井先生は、この中で「学び合う」空気が育っていると感じている。『土器川』学習において2人1組のグループとグループ同士、クラス全体でお互い協力し合って学びを高めていく姿も、そのあらわれのひとつである。

 プレゼンテーションの練習風景においても、子どもたち同士がお互いに感想を述べ合ったり、アドバイスをするなど、「学び合う」環境が浸透しているのを感じる。

 「学校の教育目標とも関連しますが、「キューブプレゼン」の活用は、単に資料をつくることが目的ではありません。その資料を元にして、どのように相手に伝えたら良いのかを考え、それを表現していくことがねらいです。2人1組によって、どちらかひとりに負担がかかるのではないかと思われがちですが、決してそういうことはありません。ペアとして上手に取り組んでいます。また、今回は、発表の方法をパソコンに限定していますが、いずれ高学年になった時には、パソコン以外の手段も自由に選択できる力が身に付いていることを期待しています。」と話す増井先生。身につけさせたい力を養うために、計画的なコンピュータの活用を図ると同時に、それを学校の教育目標と合致させながら子どもたちを導いている。

 

子ども自身が活用できる〈キューブきっず〉

増井先生
増井 泰弘 先生
城北小学校の情報教育において、中心的役割を担っている増井先生。「使いやすいパソコン環境」を目指し、キューブの活用から〈スズキ校務〉の運用まで積極的に取り組んできた。

 

 現在、同校の情報機器は、コンピュータ室にある40台のパソコンおよび各教室に1台のノートパソコン、そして職員室には先生全員分のノートパソコンが整備されている。また、各学年に1台分のプロジェクターと移動可能な大型電子黒板が校内に1台あり、これを各教室に運んで活用している。

 そして、コンピュータ室はもとより、校内はネットワークで結ばれるなど、ICT環境は比較的充実している。

 「今でこそ、『パソコンがないと授業で困る』という先生がたくさんいますが、昨年度当初は、普段からパソコン室は施錠されるなど、あまり使いやすい環境にはなってませんでした。そこで、まず、コンピュータ室をいつでも利用できるように子どもたちに開放しました。それをきっかけに先生方も授業で活用することが少しずつはじまったのです。」と振り返る増井先生。

 また、〈キューブきっず〉に関しては、「操作に関して子どもたちにすべてを教える必要はなく、自然と新しい機能などを探して見つけていくように工夫されていると思います。今回の『土器川探検隊』も、ほぼすべて子どもたちが最初から最後まで自分達の力でつくりあげています。」と増井先生は、子どもたち自身が活用できるツールとして〈キューブきっず〉を評価している。

 

プレゼン力を身につけよう!

授業風景

授業風景

授業風景

 

 教室内で電子黒板の横に立ち、発表の練習をしている女子児童に対して、増井先生は『その発表は、誰に伝えようとしているのかな?』『もっと聞き手を意識して発表してごらん。』というようなアドバイスを続けていく。

 子どもたちは、それを参考に再び打ち合わせをはじめる。すると、今度は順番を待っていた別のグループが電子黒板の横に立ち発表の練習をはじめていく。子どもたちはみんな意欲的だ。そして、少しでも上手く行おうという努力が見受けられる。

 授業時間が残り20分ほどになったところで、増井先生は全員を教室に集めた。そして、見本発表を2組のグループに依頼した。その中から、『イラストで示すよりも実際に物を持ってきて見せたらどうだろう』『文字や写真の大きさはどうだろう』とみんなに問いかけていく。

 「文字を全部書いたり、小さな写真をたくさん載せるのが良いわけではありません。大事なことは、相手に伝えること。それを『プレゼン力』と言います。また、コミュニケーション能力、伝える力とも言います。この学習を通じて、みんなには『プレゼン力』を身につけてほしいと願っています。」と話して授業を締めくくった増井先生の言葉が印象的であった。

 

学習用PCと校務用PCでの「名簿」のシームレスな連携

名簿連携対応ソフト「名簿連携システム」による、名簿情報の一元化・共有

スズキの「名簿連携システム」では、学習用、校務用ソフトに関わらず、対応ソフト間でも名簿データを校内ネットワーク上で一元化して共有管理ができる。一度入力した名簿データはさまざまな場面で再利用可能。

名簿連携システム

 

 

 〈キューブきっず〉を各教科の中で活用している城北小学校にとっては、その情報を大きく発展的に活用できるメリットがある。それは、〈キューブきっず〉の名簿情報を一元化された資源として考え、その名簿情報を様々な校務処理に有効活用する方法である。

 現在、「校務の情報化」は、全国の学校において喫緊の課題として様々な場面で話題となっている。それに向けて、まず整備しなければならないのが、「名簿情報」なのである。すでに〈キューブきっず〉によってデータとして「名簿」が同校において、それと連携し、校務目的でも活用する方向で名簿のシームレスな一元化を計画した。しかも、職員室には、先生1人に対して1台のパソコンが整備されていることを考えると、日々の出欠席管理や成績処理、さらには通知表の作成にいたるまで、実にスムーズな運用が可能になってくる。

 増井先生によれば、「『教育の情報化に関する手引き』の中に示されているように、『校務の情報化』は、学校現場では急務とされています。日々の校務を効率的に進めるためには、早くから取り組んでおく必要があると感じていました。そこで、昨年の秋頃に私自身がまず学校長に提案を行いました。そして、様々なメリットやデメリットについて話し合いを行った上で、校内に検討委員会を設置しました。そして、トータルに「校務の情報化」が実現できる校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉を活用して年度末までに評価運用を実施してきた経緯があります。」というように、「校務の情報化」への道筋を見極め迅速に対応していたのである。

 

校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉で「校務の情報化」に着手

スズキ校務シリーズ
スズキ校務シリーズ
は、「先生方の校務に関する負担を減らすこと」を第一に考えたソフトウェアです。「校務にばかり時間を取られてしまい、子どもたちとの時間が取れない…」、「教材作成に充てる時間が無い」といった校務に関する悩みを解消するお手伝いを致します。

 通知表
丸亀市立城北小学校の「学びのたより」
今年度より、スズキ校務シリーズを活用して作成し、子どもたちに手渡される。
クリアファイルは、マチ(背表紙)のないタイプ。通知表の表紙には、校舎のカラー写真が掲載されている。
通知表
ポケットは10個あり、後半部分には「賞状」などを入れる予定である。
通知表

 

 

 

 そして今年度4月より、同校では、実際に校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉の運用を行い、「校務の情報化」がいよいよはじまった。

 まず、「名簿情報管理」を中心として、「出欠席情報管理」と「成績処理」の運用が同時にスタートした。新学期の様々な名簿作成において、「名簿情報管理」は先生方から大変好評で、早くもメリットを実感しているようである。また、日々の「出欠席情報管理」とテスト結果などの「成績処理」も実施され、その情報が今度は「通知表作成」に生かされているのである。

 「『通知表作成』に関しては、基本となるレイアウトを私が手がけたのですが、レイアウトを自由に調整でき、まさにワープロ感覚で細かな設定もできることから、放課後などを利用して実質1週間ほどで見本となるレイアウトが仕上がりました。そこから、表紙にカラー写真を採用したり、記入欄の大きさなどの細部を整えていくなどして、比較的早い段階で完成に達しました。また、夏休み期間中に校内研修会を開催し、準備を整えてきました。」と増井先生は振り返る。

 こうして仕上げた通知表は、2学期制を採用している丸亀市では、10月に子どもたちに手渡されることになる。また、これに先立ち、夏休みの期間に開催された丸亀市のメディア研究会の席上で、増井先生が〈スズキ校務シリーズ〉を活用した「校務の情報化」の推進状況を紹介するなど、積極的な外部への働きかけも行われている。

 「〈スズキ校務シリーズ〉なら、まずなによりもサポート体制が万全であることが安心材料です。我々は定期的な異動があるため、その学校の校務運用に関して、ずっと見守ることができませんからね。しかし、本校の取り組みが理解され、やがて市内の学校で『校務の情報化』が推進されるようになれば、そのような心配も必要なくなると思います。」と増井先生は期待する。

 9月上旬の段階でほぼ最終形が完成していた通知表は、透明のクリアファイルに収納されていた。クリアファイルはA4サイズで、ポケット数10個。特徴的なのはマチ(背表紙)がないこと。これによって保管時にコンパクトに収まるという。また、ポケットの後半部分には、1人1人への賞状などが入れられる予定である。

通知表通知表通知表

通知表通知表通知表

 〈キューブきっず〉から校務支援システム〈スズキ校務シリーズ〉へ。名簿情報の一元化・共有化で、教科でのICT活用から校務の効率化までを実現した城北小学校の取り組みは、今後の学校運営の方向性を示しているのではないだろうか。今、「教育の情報化」が大きく動き出そうとしている気配を強く感じる。

 

 

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