授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

長崎県 学校法人純心女子学園 純心中学校

授業風景

中学校〈技術・家庭〉両分野の

横断的な学習も推進。

生徒たちの心を表現するツールとして

キューブが活用されていた。

 

2年生 技術・家庭科
〈キューブNextシリーズ〉活用事例 

2009/08掲載

 

 

長崎県純心中学校は、昭和22年に開校したカトリック系の私立中学である。純心高校との中高一貫教育の他、系列の大学・大学院を備えた総合学園である。
今回は、昨年度の第11回キューブ活用コンテスト〈キューコン〉において優秀コンテンツ賞を受賞した同校での〈キューブ〉活用場面を見学させていただくことにした。

 

技術の時間で活用する〈キューブペイント〉

授業風景

授業風景
〈キューブペイント〉を使って作品づくり

 コンピュータ教室の扉を開けると、生徒たちから「こんにちは」という元気な声が聞こえてきた。〈技術・家庭科〉技術分野の2時間続きの後半にあたるこの時間は、すでに生徒たちはパソコンの前に座り、続きの作業を進める準備も整っている。2年生は各クラス20数名で、全部で3クラスあるという。

 先生の合図で、授業はすぐに開始となった。思い思いにパソコンに向かう生徒たちの表情は様々である。真剣に画面と向き合う生徒。隣の席の生徒に相談する者。先生に質問する生徒など、自由な雰囲気と秩序ある空気の中で作業が進められていく。

 生徒たちが操作しているのは、教育用統合ソフト「キューブ」に内包されるペイントソフトである〈キューブペイント〉。テーマは、『わたしの大切なもの』。「自分の将来のことを考えるためのきっかけになってほしい」と話すのは、同校の2年生と3年生の〈技術・家庭科〉を担当している瀬戸口都模美先生である。

 

〈技術分野〉と〈家庭分野〉の横断的学習

成果作品
〈家庭分野〉の「会食の計画」でつくった『理想のお弁当』をデジタルカメラで撮影し、〈技術分野〉ではパソコン上で写真の上に文字や装飾などを加えてレイアウト

 

 瀬戸口先生は、同校で〈技術分野〉と〈家庭分野〉の両分野の授業を担当されていることもあり、両分野それぞれの特徴・特質を生かした部分で新しい様々な試みを行っている。

 例えば、〈家庭分野〉の「会食の計画」でつくった『理想のお弁当』をデジタルカメラで撮影し、〈技術分野〉ではパソコン上で写真の上に文字や装飾などを加えてレイアウトしみんなに紹介したり、布による壁掛けや袋物のデザインをパソコンを使って行い、実際に製作するなどの授業は、〈技術分野〉と〈家庭分野〉の横断的な内容となっている。

 そして、昨年度のキューブ活用コンテスト〈キューコン〉で見事に優秀コンテンツ賞に輝いた作品(3年生)は、パソコンを使った〈技術分野〉での電子紙芝居作品ではあるが、〈家庭分野〉の保育の学習にあたる『絵本づくり』がそのベースとなっている。

作品作品
作品作品

電子紙芝居電子紙芝居(キューブプロジェクタ)を活用した昨年度の応募作品の一部。それぞれがテーマ性を持ったストーリーになっている。絵だけではなく、ナレーションも入っており、話の展開に合わせ、アニメーションも効果的に使われていた。

 

 「電子紙芝居をつくる時、その根底にあるのは絵本なんです。まず絵本の成り立ちを指導し、次に紙芝居づくりを目指しました。最終的にパソコンを活用して〈キューブプロジェクタ〉で仕上げたわけですが、生徒たちが、ねらいやストーリーというものをしっかりと理解した上で取り組むことができたことで、コンテストにおいて高い評価をいただいたのかもしれません。」と、瀬戸口先生は振り返る。

 パソコンを活用することで、横断的な学習もスムーズにつながっていく。そんな印象を強く感じることができた。

 

 

段階的で計画的なパソコン活用

授業風景
生徒にアドバイスする瀬戸口先生

 純心中学校では、1年生の時に『総合的な学習の時間』でパソコンに触れる機会がある。そこでまず、インターネットの活用を学び、2年生の〈技術・家庭科〉などの時間を中心にワープロやペイント、表計算、データベース、メールソフトなどの使い方を学習する。そして3年生では、音楽ソフトなどを利用したマルチメディアの学習を行うなど、ひとつひとつのアプリケーションに接していく。

 「パソコンは、時間を必要とする教材でも克服できる利点があります。〈キューブ〉は、いくつかの候補の中から選択した甲斐があって、非常に使いやすいと感じています。今日の授業もキューブペイントの“レイヤー機能”を上手く活用できるように促しています。絵が苦手な生徒もパソコンならチャレンジできるようですし、工夫・試行錯誤する上でのやり直しも簡単にできることから〈キューブペイント〉は、生徒がパソコンに接する初期の段階で活用することにしています。」と、瀬戸口先生は、授業時間数が限られる中、効果的なパソコン活用を常に考えている。

レイヤー機能〈キューブペイント〉のレイヤー機能を使えば、背景画像の上に別のレイヤーを重ねて文字を書いたり、また別のレイヤーを重ねてイラストを描いたりすることができる。
それぞれのレイヤーは独立して描画・修正できるので、他のレイヤー画像はそのままに、やり直しも簡単に行うことができる。

キューブペイントキューブペイント

 

生徒の心を表現するツールとして

瀬戸口先生瀬戸口都模美先生

 

 情報モラルの学習機会に関しては、「入学時などの事前学習を基本に考えて実施しています。これは、同時に保護者にも実施しています。その他では、生活指導の場面で行ったり、県や市の配布物を活かしながら、教科書に沿って指導しています。」と話す瀬戸口先生。〈キューコン〉応募の際には、著作権やキャラクターについても学習したという。また、〈キューブメール〉を活用した教室内での疑似体験なども実施し、「繰り返し行うことが何よりも大切ですね。」と言葉を強めた。

 さて、2時間続きの授業では、少しずつ作品が完成に近づきつつあった。途中、他のクラスの作品を閲覧した際には、生徒から「すごいっ」という歓声があがり、生徒たちは、さらに意欲を高めていたようであった。

 「〈技術・家庭科〉は、両分野ともモノをつくる成果が現れる教科です。生徒たちには、是非、学んだことを生活に活かしてほしいと願っています。
また、技術・家庭両分野を通じても、知識やテクニックだけでなく、例えば小さな子どもを対象とした絵本づくりに込められるような思い…「やさしさ」「思いやり」といった『心』を育むことが大切であると思います。
高校や系列の大学を卒業した後に、社会貢献の気持ちを強く持つ子達がいるのは、うれしいことです。」と柔らかな表情で話す瀬戸口先生。

 キューブ活用コンテスト〈キューコン〉の作品群には、そうした『心』が随所に溢れ、豊かなストーリーとなって表現されていた。そして、〈キューブ〉は、まさに生徒たちの『心』を表現するためのツールとして活用されていたのである。

 

 

 

 

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