学校紹介をホームページへ
山口市立大殿小学校
古屋伸浩先生が担任を務める山口市立大殿小学校の5年1組では、『総合的な学習の時間』を活用して、全学年の行事などを集めた学校紹介が作成されていた。元々は、地域に配布される地域情報誌に掲載するために、学年ごとの行事を取材していたのであるが、その活動が一段落し、さらに発展していったのである。
インタビューによって得られた、より詳しい学年行事を、今度は学校のホームページ内に掲載する運びとなり、子どもたちの活動はそれ以前にも増して積極的になっていた。このクラスでは、普段から使い慣れている〈キューブきっず〉のキューブページ(ホームページ作成ソフト)を活用し、グループごとに共同編集を進めていた。
キューブページで作成した各ファイルは、そのままHTML形式として生かすことができるため、新聞作りと同様の作業を進めながら、手軽にホームページに掲載が実現するのである。
活発な意見交換で授業が活性化
よりよい作品づくりに向けた、活発な意見交換
古屋先生は子どもたちの気づきを引き出していく
グループ毎に集まっての編集会議
〈キューブきっず2〉でホームページを作成
学校を訪問したこの日は、ちょうど各グループが進行状況を発表し、他のグループの成果を見ながら修正作業をする時間となっていた。
グループごとに1年~6年紹介の分担に分かれ、さらにグループ内で個人個人がそれぞれのページを担当する共同作業の形態をとることで、効率よい作業ができるのと同時に責任ある編集作業が求められる。パソコンに向かう子どもたちの様子は、誰もが生き生きとした表情で少しでも工夫をしようという意欲が感じられる仕上がりとなっていた。
進行状況と気付きの発表時間では、率直な意見が交わされた。「シンプルでいいよ!」「明るくて読みやすい」「見やすい!」「デザインがいい」など、子どもたちの発言は、いずれも良い点を的確に評価している。その一方で「『心あたたまる話』というタイトルなのに、温かい色が使われていない」など、発言の趣旨が適切に伝わる場面では、クラスのみんなが深く納得するなど、意志の疎通が図られている印象を受けた。また、ひとりひとりの発言がハキハキとし、元気が感じられるのも印象的であった。
気付きの発表を受けて、子どもたちは修正作業に入る。友だちと相談したり教え合ったりする活発な姿が見られ、授業はあっという間に終わりの時間を迎えた。
最後に、「自分だけでは気付かなかったことが、意見を聞いたり、画面を見ることで発見できた」など、まとめの発表があり授業は終了した。
友達や先生からの意見・アドバイスを受け、受け持ちのページを修正していった
日常的な学習場面で随時キューブを活用
担任の古屋伸浩先生
「この学校では、大筋の年間計画を作成し、低学年の時から〈キューブきっず〉を活用しています。ペイントでのお絵かきにはじまり、高学年になるとキューブページやキューブミュージック、ワープロ、メール、情報モラルなど様々な機能に触れています。」と話す古屋先生。しかし、年間計画に縛られることなく、情報モラルの学習などは、必要に応じてタイムリーに実施するなど、柔軟な体制が敷かれている。
5年生では、1学期にメールについての学習を行い、その中で“なりすまし”や不適切メールなどを疑似体験している。また、地域を流れる一の坂川にちなんだ「ほたるまつり」に参加するために、ペイントで描いたイラストと自筆の筆文字を組み合わせた作品を仕上げるなど、〈キューブきっず〉を日常的に活用している様子を伺い知ることができた。
キューブミュージックでおはやしを作曲
お囃子の発表風景
平成16年11月、大殿小学校の体育館で開催された校内音楽会では、5年生が地元の山口祇園祭で奉納される伝統芸能「祇園囃子」を演奏していた。これは、「おはやしをつくろう」というカリキュラムに則り、音楽の原田和恵先生とともに進められたもので、毎年7月に開催される山口祇園祭の体験を経て企画された。
音楽科の原田和恵先生
子どもたちは音楽の時間に〈キューブミュージック〉で囃子を作曲する学習を行い、オリジナル曲なども披露した。音楽会では、締太鼓や鉦などの和楽器も用意され本格的な演奏となった。
原田先生によれば、「邦楽とパソコンによる作曲の相性は意外とマッチしているんです。自分が作った曲がすぐに音楽として再生される喜びを子どもたちが実感し、創作活動への興味を高めてくれたことが大きな成果でした。」と振り返る。このパソコンによる作曲と校内音楽会での演奏は、今も続き、学校に根づきはじめている。
フリートークで伸ばす思考力・判断力・表現力
キューブミュージック
「子どもたちが活発に意見を交換できるのは、『モーニングタイム』というフリートークの時間が息づいているからです。この子たちは話し合いが好きなんですよ。学力を向上させるためにスタートしたのですが、少しずつ成果が出はじめているのかもしれません。」と話す古屋先生。
思考力・判断力・表現力を高めることが求められるこれからの時代の学習。情報教育のあり方とともに必要なのは、子どもたちの「考え、伝える」という力なのかもしれない。