授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

徳島県 松茂町立長原小学校 

そのまま使っても、

指導内容に合わせて改編もOK。

教科単元支援ツール〈スキップ〉の

豊富なワークシートは教師の強い味方。

 

4年生 算数
教科単元支援ツール〈スキップ〉活用事例 

2007/08掲載

 

松茂町立長原小学校
松茂町立長原小学校

 旧吉野川の河口域の中州から形成された松茂町は、徳島空港がある町として知られ、すぐ東側には海が広っている。また、徳島市と鳴門市に隣接することなどから、数十年にわたって人口の増加が見られ、現在では14,000人が暮らしている。地元の産業としては、水産業に従事する家庭が多く、古くから農業も盛んであるが、最近では工場なども建てられ製造業なども発展してきている。
 この松茂町にある長原小学校は、校区が海岸付近の比較的狭いエリアに絞られていることもあり、全児童数は54名ほどであるが、学校の歴史は古く、1900年に開校した長原尋常小学校にまで遡る。その後、1947年に現在の学校名へと名称が変更されている。
 1994年には、国際理解教育推進研究指定を受け、その後も継続的な研究を進め、2002年には、国際理解教育英語学習発表会を開催している。また、「総合的な学習の時間」においても積極的に英語学習を取り上げるなど、広くその成果が知られている 。

 

授業との親和性が高いワークシート

 ワークシートは言うまでもなく、限られた授業時間の中で、指導内容に対し効果的な学習を行うための授業の内容にあわせた教材である。授業の内容に合わせて作成された教材であるため、授業との親和性が最も高 く馴染みの教材といえる。
 しかしながら、これまで、そして今でも教材としてのワークシートの準備は教師自身の負担に頼っているのが現状である。各教科・各単元の内容に合わせて授業ごとのワークシートを準備するとなれば、授業時間以外でのその労力や時間は多大である。また、教科書がない「総合的な学習の時間」では、 教材としてワークシートが大切な役割を果たすが、学習のさまざまな過程における活動に応じたワークシートの準備が必要となる。
 また、既存のものがあったとしても、授業内容に合わせ改編の必要があるケースに容易に対応できるものは少ない。
 そうした学校現場の負担を解消する、教科単元の流れに則した豊富なワークシート集と簡単に改編可能なワークシートのデータ、専用アプリケーションをセットにした教科単元支援ツール〈スキップ〉が発売された。
 今回は、〈スキップ〉のワークシートを巧みに活用して授業を組み立てている土井国春先生が勤務する徳島県の松茂町立長原小学校を訪問した。

 

 

“身体にしみつく”ように教えたい

土井国春先生
土井国春先生

 

土井国春先生

 

 見学予定の4年生算数の授業前に、土井先生は申し訳なさそうに語った。「これからご覧いただく授業は、劇的に何かが変化するような“派手 さ”を持った授業ではありません。しかし、展開が非常にスムーズな授業になると思います。」と。
 それは、見学者を喜ばせるようなパフォーマンスは一切なし、という意味であり、普段の日常的な授業風景であるということを示唆している。
 授業は、『変わり方を表すグラフ』(全9時間)の4時間目と5時間目にあたる。
 4時間目の授業は、変化が異なる事象を同一場面に表した2つの折れ線グラフを考察することが目標である。ここまで、子どもたちは、気温の変化に関心を持ち、折れ線グラフの読み方を学習してきた。
 土井先生によれば、「折れ線グラフの学習は、とても大切な単元であると捉えています。 グラフが意図をもって構成されていることを、グラフを読んだり書いたりする経験を通して“知る”、“気づく”ことが大切だと考えますし、しっかり折れ線グラフの読み取りをできることが他教科においても学習の理解を深めることに繋がります。この統計の学習は、情報活用の実践力…中でも情報の“表現”、“処理”、“創造”を教科算数で 育成させることのできる絶好のチャンスでもあります。」と、この単元の重要性を確信している。

 そして、「限られた授業時数の中で教科の学習目標を達成しながら、“情報活用の実践力”も同時に育てたいとすると、なんらかの効率的な手を打たなければならない。それをサポートしてくれる 教材が〈スキップ〉でした。 この単元を〈スキップ〉のワークシートを利用し、手順に沿ってしっかりと行うことで 、より身体にしみつくように覚えることができますし、 結果として深いところで基礎になってほしいと思っています。今、指導すべきことを正しく子どもたちに伝えるために、私は、この教材を使うのです。」と、〈スキップ〉のワークシートの活用理由を教えてくれた。

ワークシートで練習

 

 

 授業は、プロジェクターで黒板に映し出された折れ線グラフを読むことからはじまった。前回の授業の確認である。
 続いて、本時のめあてが黒板に板書された。『2つの折れ線グラフからどんなことがわかるでしょう』と書かれた文字を全員が声を出して読む。
 次に教科書に掲載されている東京の1年間の気温とシドニーの1年間の気温を見ながら、「表はどれ?」「グラフはどれ?」と土井先生が質問し、グラフは表からできている、ということを子どもたちに認識させた。そして、再びプロジェクター上で2つのグラフを重ねて表示して見せた。そして、「表題も変わるよ」と言葉を添える。子どもたちは、今、表示されているグラフがどのようなものなのかを理解していく。
 こうして授業は丁寧にひとつひとつを確認するように進んでいった。

スキップ〉のワークシートを子どもたちに配布した。タイトルは、『1日の気温と井戸水の温度』である。
 先程の気づきを元に、この2つのグラフからどのようなことがわかるのかを学習するのである。子どもたちは、2つのグラフを見比べながら、変化の様子を読みとっていく。ワークシートの学習が加わったことで、子どもたちは問題にチャレンジし、自分の学習理解を確認することができた。

 

ワークシートでおさらいと発展

 

土井国春先生 休み時間をはさんだ後の5時間目にあたる授業は、『折れ線グラフをかいてみよう』である。
 まず、プロジェクターを使って「折れ線グラフのかき方」を元にかき方の手順が説明された。続いて、『1日の気温』の表から折れ線グラフをかく作業に入った。表題、横軸、縦軸、点を打つ、そして点をつなぐといった作業がスムーズに進められた。
その後、〈スキップ〉のワークシートをアレンジした、この時間のための『チャレンジシート』が配られた。タイトルは、『教室の温度の変わり方』である。

ワークシート ここまでの学習を生かして、子どもたちは折れ線グラフを作成していく。作業のスピードは、それぞれに差はあるものの、全員が熱心に取り組んでいる姿は印象的であった。そして、次のチャレンジとして、9月の気温と11月の気温という2つの折れ線グラフをかく作業へと発展していった。さらに、これを完成させた子どもには、縦軸と横軸に枠(メモリ)が刻まれていない『チャレンジシート』が配られ、数人が挑戦していたが、授業はここで終わりの時間となった。

ワークシートから授業イメージが浮かぶ

土井国春先生

 

 今回、土井先生が授業で活用した『チャレンジシート』は、〈スキップ〉のワークシートからチョイスされ、それをアレンジしたものである。
 「この〈スキップ〉の良い点は、充実したワークシート集です。学年ごと、単元ごとにまとめられているため、授業の前に目を通して活用できそうなものを手軽に探すことができます。これまでも、既存のワークシートを活用してきましたが、残念ながら実態に合わない部分もあるんですね。ところが、〈スキップ〉のワークシートは、データも付いているので、自分が描いている授業に合わせて改編できるのが魅力です。今回も、『チャレンジシート』として、いくつかの発展性のあるワークシートを用意しました。これによって、ひとりひとりの学習進度に応じた授業が実現できると思っています。」と土井先生は、〈スキップ〉の印象を語ってくれた。

 「ワークシートには、授業の空気を変える力があります。子どもたちが一気に集中するんですね。その意欲を大切にしたいと思っていますし、何より、学習の理解促進という点でも効果的であると思っています。〈スキップ〉は、授業時間数が少ない中でそれらを応援できる教材であると実感しています。」と土井先生。
 授業に合わせて改編でき、子どもたちひとりひとりに応じたワークシートを準備できる〈スキップ〉。専用アプリケーションと連携することで、さらに充実した授業構想を描くこともできる。
 「私の場合、ワークシートから授業のイメージが浮かぶことが多いんですよ。」という土井先生の言葉が印象的であった。

 

 

 

 

ページのトップへ戻る

スズキ教育ソフト