授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

東京都 三鷹市立大沢台小学校

〈スキップ〉で、手軽にはじめる

“各教科学習”の中での“情報教育”。

学習場面に応じたツールの活用

“ワークシート+アプリケーション”

 

6年生 算数
教科単元支援ツール〈スキップ〉活用事例 

2007/06掲載

 


三鷹市立大沢台小学校

 文部科学省では、『ICT時代の子どもたちのために すべての教科で情報教育を』というテーマの下に、情報教育に係わる学習活動の全体像を明示している。
 情報教育の学習内容(「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」)を各教科の中で学習していくための例示として、『情報教育の目標で分類した学習活動一覧』が公開され、何年時のどの教科で、どのような学習内容を扱うことができるのかが具体的に記載されている。したがって、この『学習活動一覧』に沿って情報教育を推進することで、その目標に近づけることになる。
 しかし、国語、算数、理科、社会など多数の教科を指導する小学校では、指導計画の作成も多くの時間が必要となり、情報教育の準備を十分に行うことができないという現状もある。
 今回は、こうした課題を少しでも克服することができ、普段の授業の中で自然に情報教育を行うことができる教科単元支援ツール〈スキップ〉を活用した授業の一例を、東京都三鷹市立大沢台小学校で見学することができた。

 

インテリジェント・コミュニティ/三鷹市

 東京都三鷹市は、東京都心から西に約18kmの地点にあり、豊かな自然と街が共存している。かつては都心のベッドタウンとして発展してきた歴史があり、昭和30年代には団地が建ち並び人口が著しく増加した。その後、人口増加は落ち着いたものの、近年再び増加傾向にあり、現在では、約17万人が暮らしている。
 三鷹市が自治体として特に注目を集めるようになったのは、平成14年の政府推進によるe-Japan戦略に則って、ITを活用した自治体作りを目指す「あすのまち・三鷹」プロジェクトがスタートしたことによる。このプロジェクトでは、学校・家庭・地域が高速回線で結ばれたのをはじめ、無線LANの配備や動画配信システム、学習コンテンツの提供などが行われた。
 また、文部科学省と総務省の連携プロジェクト「学校インターネット」の取り組みも開始された。これは、各地域の教育センターなどを中心に域内の学校を高速回線で接続し、地域の教育用ネットワークを活用した教育方法に関して先導的な研究・開発を行うプロジェクトである。
 そして、平成16年には、3年間の継続事業として、文部科学省委託事業である「ネットワーク配信コンテンツ活用促進事業」がはじまり、三鷹市教育センター内にコンテンツ配信センターがオープンした。これによって、市内の学校から手軽にアクセスすることで授業に必要な学習コンテンツを活用できることになった。
 このような先進的な住民サービスや教育への取組みがあり、三鷹市は、『2005年インテリジェント・コミュニティ・オブ・ザ・イヤー』(世界テレポート連合/インテリジェント・コミュニティ・フォーラム)に選出され、世界のお手本となる自治体となった。

 三鷹市立大沢台小学校は、市内の西端に位置し、南にある東京天文台の深い木立や野川公園など緑があふれる自然環境と大きな敷地を持つ工場や幹線道路が走るなど、様々な表情を見せる街の中にある。学校は、昭和33年に開校し、間もなく50周年を迎えようとしている。
 今回は、その大沢台小学校の6年1組(担任:小暮敦子先生)の授業を見学することができた。

 

6年生/算数:スポーツテストの結果をレーダーチャートに表そう

小暮敦子先生


スポーツテストの結果について気がついたことを話し合う。

教科単元支援ツール「スキップ」メニュー画面
教科単元支援ツール「スキップ」メニュー画面

 

 
配布されたワークシート。
〈スキップ〉付属のものを利用している。

 この日の授業は、『スポーツテストの結果をレーダーチャートに表そう』という内容である。
 先日行われたスポーツテストの集計結果が配布されたワークシートに記入されている。このワークシートは、実は、教科単元支援ツール〈スキップ〉付属のものを利用したもの。3年生から6年生まで各学年ごとに冊子で提供されているが、再編集可能なデータも付属するため、先生側で自由に内容を変更することができる。今回は、「表とレーダーチャート」というワークシートを子どもたちに配布して結果を記入させている。
 さらに、財団法人日本レクリエーション協会運営の《子どもの体力向上》というホームページから「スポーツテスト得点表と総合評価」という一覧表を印刷・配布して、自分の結果を、そこに記載されている「得点」と照らし合わせる作業を行っている。 これによって、子どもたちは、自分のスポーツテストの結果を得点(10点満点)に換算する。そしてその「得点」を先のプリント内の所定の位置に記入していくのである。また、一年前の5年生との時に行ったスポーツテストの結果も調べ出して併記してある。

 まず最初に、3人のグループで、5年時と6年時のスポーツテストの結果について気がついたことを話し合い、わかったことが発表された。「全体によい結果になった」や「50メートル走が特に伸びた」など、結果が変化している様子が発表された。
 これらの発表に続いて小暮先生は、「もっとはっきりわかるためにはいい方法があります。それは、レーダーチャートというグラフにすることです。」と子どもたちに話しかける。そして、黒板にスクリーンと液晶プロジェクタを用意して、提示用パソコンの画面を映し出す。プロジェクタにコンピュータの画面が表示されると、子どもたちは、一斉にスクリーンを注目する。ICT活用のメリットが活かされている。

 

〈スキップ〉で理解の促進を図る


レーダーチャートから読み取れる事について、活発な発言があった。

 

小暮敦子先生

 スクリーンには、〈スキップ〉メニュー画面が写し出される。小暮先生は、自分の操作を言葉に出して説明しながらマウスを動かしていく。「算数」を選び、さらに「レーダーチャートでまとめよう」へと進む。
 すると、画面には、「レーダーチャートでまとめよう」の授業の流れが表示される。その中には、「情報を整理する」活動や「整理された情報を作成する」という学習活動が示されている。そこで、「作成する」活動を行うために、「グラフナビ」を立ち上げる。この「グラフナビ」は、〈スキップ〉に搭載されたアプリケーションのひとつで、さまざまなグラフを手軽に作成できるツールである。 そしてこの中から、「レーダーチャート」を選ぶ。
 画面は、タイトルや項目、凡例を入力する画面になる。
 まず、代表してひとりの児童の5年時のスポーツテストの「得点」を先生が入力する。次の画面ではすでにレーダーチャートが表示されている。スポーツテストの種目は、50メートル走など5つの項目のため、結果は五角形で表示される。

グラフナビ グラフナビ グラフナビ

 

 次に、6年時の結果を入力する。これによって、どのようなグラフが出現するか、小暮先生は子どもたちに問いかけて予想させる。5年時と比べて6年時の結果が大きく伸びたこの児童の結果は、レーダーチャートを表示することで一目瞭然となった。子どもたちからは、「大きくなった」、「伸びている」「バランスがいい」などの声が上がる。きれいな五角形のカタチが表示されたことで、子どもたちは、レーダーチャートの特性を知ることになる。これによって、子どもたちは、自分のレーダーチャートの作成に意欲がわいたようで、「早くつくりたい」という声が聞こえてきた。

 しかし、残念ながら実際のレーダーチャートの作成は、次回、コンピュータ室で行われることになっているため、子どもたちは少々残念そうな表情となった。ところが、小暮先生は、ここで、子どもたちの興味・関心をひきつけるもうひとつのネタを用意していたのである。それが、「スポーツテスト得点表と総合評価」を取り出した財団法人日本レクリエーション協会運営の「子どもの体力向上」というホームページである。
 このホームページには、昔と今のスポーツテストの結果比較や早く走るための方法、トップアスリートからのメッセージなどが掲載されていて、学習に関連して興味を引く内容となっている。残りの学習時間を利用して、子どもたちは、自由にページを閲覧していた。それは、間近にせまった運動会に向けて、少しでもヒントを探そうという意欲的な姿として映った。

 

「ここならできる」という足がかりに

小暮敦子先生

 各教科での情報教育を扱った学習計画や教材などをゼロから用意していると相当な時間が必要です。〈スキップ〉が提示する“授業の流れ”は各教科・各単元の流れ・学習内容がイメージできますし、学習を進めていくことで自然に情報教育の学習もできます。また、そのままコピーしても、加工しても使えるワークシートが冊子とデータで付いてるので、普段指導されている各教科学習から情報教育に取り組むきっかけになると思います。」と話す小暮先生。
 そして、使用してみたいツールとしては、「新聞作成は、特に活用機会がありそうですね。」と今後の活用イメージを持っていることを教えてくれた。
 三鷹市によるインフラ整備にともない、「授業は大きく変わりました。コンピュータ活用が普通の授業になってきた感じがします。」と実感している小暮先生。『ICT時代の子どもたちのために、すべての教科で情報教育を』の実現が、すぐ近くまで来ている。

 

 

 

 

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