授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

愛知県 名古屋市立長須賀小学校

キューブで、まずコンピュータに

慣れ親しみ、続いて表現活動に取り組む

 

2年生 生活科・図画工作科『カレンダーづくり』
3~6年生 音楽科『“ものがたりづくり”と学芸会発表』 
〈キューブシリーズ〉活用事例 

2004/02掲載

 


名古屋市立長須賀小学校
廣田元子 先生

 今回取材をお願いしたのは、名古屋市立長須賀小学校の廣田元子先生。廣田先生は小学校低学年から中・高学年までコンピュータを利用した、とてもユニークな取組みを実践されています。コンピュータに慣れ親しむ段階の低学年での学習活動における工夫や、 「表現活動」と「情報教育」を楽しく結びつけた中・高学年での新しい学習活動への取り組みをご紹介します。

 

低学年 カレンダーづくりにチャレンジ!


〈らくらくキューブ〉でコンピュータに慣れ親しむきっかけをつくる

 愛知県名古屋市立長須賀小学校では、低学年の子どもたちがコンピュータに気軽に慣れ親しむことをねらいとして、〈らくらくキューブ〉を活用した授業を行った。
 3年生以上の学年では、コンピュータに接する機会は多いが、低学年は、その頻度はあまり多くない。したがって、子どもたちは、コンピュータに対する強いあこがれや期待感を持っているという。
 今回は、小学校1年生と2年生で〈らくらくキューブ〉の「フォーム」を使ったカレンダーづくりを1時間で行うことになった。1、2年生では、生活科と図工の時間の中でコンピュータに慣れ親しむことが単元目標の中に設定されている。
 〈らくらくキューブ〉は、小学校低学年や初心者の子どもたちのために、〈ハイパーキューブねっとjr.2〉に追加されたモードである。厳選されたアプリケーションの他、楽しく作品作りをするための「フォーム」が用意されている。

 TTを担当する廣田元子先生によれば、「〈らくらくキューブ〉は、かんたんにできると思わせるネーミングが、教える側の先生にも、子どもたちにとっても親しみ感があっていいと思います。子どもたちは、きっかけ次第で大きな興味や意欲を持つものです。そのきっかけを大切にしてあげたいと思いますし、それを導火線にしてその次のステップに気軽に進んでいくことができます。」と〈らくらくキューブ〉を授業に導入するポイントをとらえている。

 

 

 

 

カレンダーに完成をあげる子どもたち

 コンピュータ室に入ってくる子どもたちの表情は、期待感で笑顔があふれていた。ふたりで1台のコンピュータを使い、お互いに教え合いながらカレンダーを仕上げていく。
 まず、〈らくらくキューブ〉のタイトル画面から「フォーム」を選択する。続いて「カレンダー」をクリックして、「がんばるコース」を選ぶ。子どもたちは、先生の説明に耳をかたむけ、大きな戸惑いもなくマウスをクリックしていく。
 作品づくりは、画面上の「キューブくんナビ」を見ながら進められていくため、子どもたちにも大変わかりやすい。
 まず、サンプル画像の中から好きな絵を選び、背景の模様を決めて2ヶ月分もしくは1年間分のカレンダー表示を選んで印刷を開始する。そして、プリンターから出力された自分のカレンダーを手にして歓声をあげたり微笑んだりと、素直に喜びを表現していた。ふたりに1台という機器環境で、1時間の授業内にふたりとも作品を仕上げることができた。

 

中・高学年 音楽科「ものがたりづくり」と学芸会発表

活動の流れ

ものがたりのあらすじを作成する
(ワープロ)

わからないことを調べる
(インターネットなど)

ものがたりに合った絵を作成 各担当
(お絵かき)

BGMやナレーションをつける 各担当
(音楽、レコーダ)

ひとつの作品にまとめる
(電子紙しばい)

 

「表現活動」の中で〈キューブ〉シリーズを活用
音楽科「ものがたりづくり」の実践

 廣田先生は、特に「表現活動」においてコンピュータの可能性を探っている。
 3年生から6年生までは、音楽科の「ものがたりづくり」を学習する場面で〈ハイパーキューブねっとjr.2〉が活用されてきた。昨年度は、クラス全員の力を合わせて物語を創作し、絵を描き、効果音などをつくりながら、ほぼ半年間をかけて作品を完成させた。
 この学習では、〈ハイパーキューブねっとjr.2〉の「ワープロ」や「お絵かき」、「音楽」、「レコーダ」、「電子紙しばい」などが複合的に活用されている。「お絵かき」や「音楽」を活用する場面では、ひとりひとりが自分の役割を担うことになり、全員が作品作りに参加したという実感を味わうことになる。そして今年度は、ひとり1作品を完成させ、「けいじ板」に掲載して全員で見せ合うことにしている。

 廣田先生は、「コンピュータによって、子どもたちは、表現の可能性を広げることができるのです。そして、自分の立場や役割を認識して活動することによって、自分自身の居場所を発見することができるのです。それは、『心の中の表現』の枠を広げるものであり、子どもたちは自信を持つようになります。」と話す。作品の中で特に興味深いのは、 ビデオ撮影・編集段階での実写映像とペイント画像を合成した動画映像の部分である。デジタルビデオの特殊効果を活用してつくられた映像は、子どもたちの創作意欲を大きく引き出すことに成功していた。

 

 

 

コンピュータによる表現活動の大きな可能性

 〈ハイパーキューブねっとJr.2〉を活用した。こちらの作品も、先ほどの音楽科の「ものがたりづくり」と同じ手法で作成された。
 「電子紙しばい」による発表というと、まとめたものをみんなの前で提示する形式が考えられるが、この学芸会の発表では、舞台で演じている脇に投影機を設置し、映像やBGMを映し出すことで劇の補助的な役割を担っていた。

 「電子紙しばい」を用いたメリットとしては、時間をかけて舞台装置やBGMを準備する手間を省くことができた点をはじめ、調べた内容を詳しく提示したり、舞台の表現効果を上げることができた。また、子どもたちは、舞台上での劇表現だけでなく、コンピュータと連動した表現を体験的に学んでいる。これは、コンピュータが表現の道具として、より身近になっていることを示している一例であると思われる。

 「コンピュータを用いることで、子どもたちは、ひとりひとりの役割を明確にとらえ、表現を行うことができます。」と話す廣田先生。「その表現活動の経験が、それぞれのポケットになっていくのです。そして、そのポケットをたくさん持っていることがコミュ ニケーションの場で活躍することになります。」とコンピュータを通じて培った表現活動の大切さを強調する。コンピュータに気軽に触れ、自在に活用し、自己表現を高めていく子どもたちの姿は、いきいきとした表情にあふれていた。〈らくらくキューブ〉も〈ハイパーキューブねっとjr.2〉も、そうした学習活動を支える道具として、さらに長須賀小学校の子どもたちに身近な存在になるであろう。

※ 廣田先生の所属は、平成16年1月の取材時のものです。

 

 

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