授業実践リポート ICT活用&情報教育

Interview

中学校 技術分野 
新学習指導要領へのステップ

東京大学教育学部附属中等教育学校 情報技術科
峯岸 努

カンタン!生物育成
活用校インタビュー


カンタン!生物育成

平成24年度実施の学習指導要領で必修化となる「C 生物育成に関する技術」に沿った提示教材です。
限られた授業時間で「C 生物育成に関する技術」を指導する先生を支援します。
提示用スライドは、指導に合わせて自由に編集可能!

 

東大附属中学校での
活用

スライド提示から共同学習、ワークシートまで〈カンタン!生物育成〉をフル活用して生徒の学習意欲を刺激。

この授業は次年度からの本格的な実践を見据えての活動。次年度には実際に中庭に植物を植え、育成を観察しながら計測を行い、栽培の技術を実践的に学習することになる。今回の授業の導入で、峯岸先生は来年度活躍する小型耕運機を披露し、生徒たちの関心も高まっていく。


スライド提示

まず、峯岸先生は、〈カンタン!生物育成〉の基礎習得編1「栽培の技術って何だろう」のスライドを大型ディスプレイに提示し、解説を加えながら、要所で生徒に質問をする。


ワークシート記入

説明後、全員にヒントとなる資料とワークシートが配布された。すべての教材は、〈カンタン!生物育成〉から活用されている。


グループごとにテーマが決められ、資料を元に、また、峯岸先生に質問しながら、共同でワークシートを仕上げていく。グループで話し合いの場面をつくるなど、活動も積極的だ。この授業によって、クラスとして栽培計画の手前まで到達したことになる。



 

 



平成24年度から必修となる
「C 生物育成に関する技術」

―――平成24年度から、中学校技術・家庭科〈技術分野〉(以下技術科)で「C 生物育成に関する技術」が必修となります。学校としては、その対応が必要になりますね。

峯岸 技術科の総時間数が限られている中で、授業時間配分の変更や授業そのものの工夫が必要になってきます。技術科は、実技教科であり社会に出た時に必要とされる技術の基礎を学ぶ場です。それは、決して純粋な技能育成的な側面だけでなく、技術と現在の生活、社会との関わり等、幅広い学習内容を一通り見渡して学ぶことがまず必要であり、そこを踏まえつつ、技能を身につけることに展開してほしいと願っています。新しく「C 生物育成に関する技術」が必修となることで、さまざまな角度・側面から学習を深めることができます。
 ただ、「C 生物育成に関する技術」の授業デザインを検討してみると、指導面での不安要素というのが明確になってきます。
 例えば、費やした時間に反して内容の乏しい授業になりはしないか、また、成果の面で最終的な完成形が不明瞭になってしまわないか、ということが懸念されます。これらは木工・金工等の成果と大きく異なる点です。

 

理科の学習との違いを明確にし、
他の領域との融合を図る

―――学習内容に関して、理科的な対象への、技術科としてのアプローチになっているようですが。




峯岸 生徒に理科との違いを明確に示すことは、とても大切なことです。理科は「観察や実験を通して、植物と自然の関わり(生態)を学ぶ」科目です。それに対して「C 生物育成に関する技術」は、「目的のために作物を管理する技術を学ぶ」ことが目的です。つまり、実際の栽培技術を学習することになります。まず栽培技術全般の基礎について学び、そこから計画を立て、実際に植物を植え育成する実習を行います。そして、その結果を踏まえて次の栽培のためのより良い条件や環境を検討する、といった学習のサイクルが想定されます。

 

―――限られた時数で授業の計画を立てることが、難しいようにも感じます。


峯岸 はい。そこで、工夫が必要になります。私が計画する実践では、観察して測定を行い育成の状態を把握し、標準特性と比較する中で次に何をするべきかを思考・判断していくことを考えています。ここで、計測の学習場面が表出されることがポイントです。この計測の学習を技術分野の「計測と制御」の学習と融合させることによって新しい授業デザインが見えてきます。
 私は、3年間の技術・家庭科の学習全体の中で、「C 生物育成に関する技術」にどのような役割を持たせるかというコンセプトマップ作成が大切であると考えています。これを描くことによって学習の位置付けがはっきりとし、授業時間の効率的な配分とともに、融合化された学びの実現に結びつくのではないでしょうか。

 

効果的なディジタル提示教材
〈カンタン!生物育成〉

―――今回、ディジタル教材〈カンタン!生物育成〉を授業の中で活用していただきました。印象をお聞かせください。




峯岸 基礎習得から実習まで、学びがより確かになる教材だと感じました。まず、提示教材として適正な量と質が考えられた内容であり、各スライドはイラストや図、写真も入って分かりやすくコンパクトにまとめられていますので、学びにとって有効な教材である点です。これは技術科教員にとっても、限られた時数内での指導に大いに貢献してくれると思います。

 そして、付属のワークシートをプリントとして用意することで、生徒が課題解決に向かう際の手助けの役割を果たしてくれました。ワークシートは、教師による加筆・変更もできますので、今回、既成の内容に一部変更を施して発展的な記述を追加してあります。
 〈カンタン!生物育成〉を活用することで、授業準備も短時間でスムーズに行うことができ、授業の工夫にも大きな幅を持たせることができそうです。生徒に刺激を与えるような工夫ある授業が実現するのではないでしょうか。

―――ありがとうございました。

スズキ教育ソフト