校務の情報化”推進リポート

Report

『日々の忙しさから開放!学校経営が変わる!校務の情報化推進セミナー』リポート

 


“教育の情報化”の中で、特に動きが加速化している“校務の情報化”をテーマに、『日々の忙しさから開放!学校経営が変わる!校務の情報化推進セミナー』が全国3会場(大阪・東京・名古屋)にて開催されました。2010/5/29大阪会場の様子をレポートします。

 

講演

『校務の情報化』の本当の目的

講師:玉川大学教職大学院・教授 堀田龍也

JAPET主催「校務の情報化推進セミナー」において、玉川大学教職大学院・教授の堀田龍也先生による講演が行われました。この中では、「校務の情報化」推進役となるリーダーに求められる留意点をはじめ、推進の背景や意義などが取り上げられ、今こそ「校務の情報化」が急務であることが語られました。

 

校務の情報化は、学力の向上に寄与する

堀田龍也先生



 みなさんは、「校務の情報化」の本当の目的をどのように考えているでしょうか?
 なぜ、情報化するのかという目的を忘れてしまうと、職員室にパソコンが導入されたり、通知表をデジタル化することが目的と思われてしまう恐れがあります。そこで、今一度、「校務の情報化」の目的についてまとめ直したいと思います。
 〈学校教育の情報化の意義〉については、次の3点が掲げられています。

〈学校教育の情報化の意義〉
 1 教科指導におけるICT活用
 2 情報社会に対応した情報活用能力の育成
 3 校務の情報化

 この中から、まずは「2 情報社会に対応した情報活用能力の育成」が促進され、続いて「1 教科指導におけるICT活用」が、2005年頃からはじまりました。そして最後に、業務改善の視点から「3 校務の情報化」に取り組むようになりました。一見すると1や2は、学力の向上に役立つものであるため優先されてきたとも言えます。しかし、実は、「3 校務の情報化」も学力に寄与するのです。
 「量的」な側面から見ると、「校務の情報化」によって、先生が雑務から解放され、それによって子どもたちと向き合う時間が確保されることになります。また、「質的」には、評価データの蓄積と共有が図られることによって、質の高い指導が実現していくと考えられます。つまり、先生方の指導の量と質が向上することで、「校務の情報化」によって子どもたちの学力向上をバックアップする力に結びつくと考えることができます。

校務の情報化が推進される4つの背景

堀田龍也先生

 今、「校務の情報化」が推進される背景として、次の4点が挙げられます。
 1番目は、「教員の多忙感」です。これが、先生の日々の業務フローを見直す機運につながっています。2番目は、「教育公務員としての教員」としての立場の再考です。企業と同様に、学校経営もコスト意識を持って合理化を進めることが望ましいのではないかという考えです。
 3番目は、「情報管理」です。学校という環境は、個人情報を扱う場です。そのセキュリティに関しては、データを集中化させることが一番安全であるという考えです。そして4番目は、「学校の説明責任」で、保護者や地域への情報発信の頻度を上げていくことが求められているのです。

トップダウンで組織的・計画的に推進


 「教育の情報化に関する手引」は、文部科学省によって政策的・計画的につくられたもので、情報化を推進する際の指針です。
 その第6章「校務の情報化」の第4節「校務の情報化を進める上での留意点」の中では、学校長や教育委員会のリーダーシップの重要性をはじめ、先生どうしでの意義の共有、制度や公文書規定の見直し、学校情報セキュリティの確保の他、最終的な効果の検証と見直しを図ることが明記されています。
 こうした指針の前提として行われた平成19年の実態調査では、導入済み校において、その効果を実感しているという結果が得られています。そのことからも、躊躇することなくトップダウン式に、そして組織的・計画的に「校務の情報化」を推進することが大事であることがわかります。

学習指導管理系校務支援システムの必要性


 さて、教師は、子どもたちをしっかり見て、勉強をできるようにし、人間的成長を見守り、体や心の発育にも目を配る専門職です。そして、専門家は道具を使い、専門的技術で問題を解決します。その道具とは、専門家の判断を助ける情報を提供するものなのです。
 このように考えていくと、コンピューターが支援するものは、記憶や記録であり、保護者と向き合う際に手助けをしてくれる存在であると言えます。出席簿などのように朝の時点で状況を把握しなければならない場合にも、校務支援システムが導入されていることで即時判断につなげることができます。
 通知表は、学校裁量によって書式を決めることができる重要文書です。学校向けにつくられた校務支援システムを活用することによって学校独自の工夫を図ることができます。このように、学校向けに開発された校務支援システムであれば、校務の実態に合わせた操作体系が確保されているため、コンピューターに詳しくない先生でも気軽に使うことができるのです。そして、校務用PCの導入に際しては、「校務支援システム」もセットで検討し、コミュニケーション系グループウェアよりも学習指導管理系校務支援システムを優先するようなビジョンを描くことが重要なのです。

 

メディアと教育を考える(堀田龍也先生ブログ)

 

“校務の情報化”の「本質」とは
~情報の“共有”と“再利用”ができるトータルな情報化を~

情報教育から各教科学習へのアプローチ
/堀田龍也

約14万人の小学生が挑戦している全国小学生キーボード検定サイトプロジェクトリーダーに聞く、「キーボー島アドベンチャー」の魅力
/堀田龍也

【対談】これからの学校教育における‘コミュニケーション能力’育成の必要性とその意義~プレゼンテーション活動と交流学習~
/堀田龍也・高橋 純

プロジェクトリーダーが語る全国小学生キーボード検定サイトの意味
/堀田龍也

【講演】 情報教育のポイントはここだ!
/堀田龍也

 

 

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