わが校自慢

Jiman

中学生によるジャズバンドが大人も顔負けのハイレベルな演奏
上級生から脈々と受け継がれる音楽魂が息づく

神奈川県 横浜市立笹下中学校

 全国の学校の「自慢の校舎」、「自慢の授業」、「自慢のクラブ活動」など…。
そんなわが校の自慢をレポートするコーナー。
 第6回目は、横浜市立笹下中学校の部活動の一つであるジャズ部をご紹介。
 定期演奏会をはじめ、地域の行事にも積極的に参加すると同時に、コンテストやフェスティバルへ出場するたびに高い評価を受けています。

2015/07掲載
※ご所属先は、取材当時のものです。

ジャズ部
「SASAGE JAZZ ENSEMBLE ORCHESTRA」
卒業生も交えて演奏してくれた曲は、
みんなが大好きな『Bolivia』。

横浜市港南区の中程の丘陵地にある
横浜市立笹下中学校。緑が多い。

中学生の部活では珍しいビッグバンド形態でコンテストの上位常連校

練習は、上級生が下級生を指導。

 中学校で吹奏楽部の活動はよく耳にするものの、ジャズに取り組んでいるケースは珍しく、さらに大人数編成によるビッグバンド形態となると全国でも稀少だ。

 同校のバンド名は『SASAGE JAZZ ENSEMBLE ORCHESTRA』。実は知る人ぞ知るスーパー中学生ビッグバンドとして、各地で開催されるコンテストでは上位に名を連ねる常連校である。

 2013年12月には、若手ジャズプレイヤーの登竜門と言われる「浅草ジャズコンテスト」で社会人も含めた出場者の中から、金賞と浅草JAZZ賞を受賞。また2015年1月の「スチューデントジャズフェスティバル2015」では、東日本会長賞と優秀プレイヤー賞を見事受賞。まさに大人も顔負けの本格的な演奏なのだ。

ほとんどが中学生になって楽器を始め、ジャズにも初めて触れる

大会への参加の他、各地のイベントに招かれ演奏している。

 放課後の校舎からは、練習に励む楽器の音色が聞こえてくる。指導にあたっているのは顧問の紺野光之先生。創部されたのは今から11年前で、前任者に代わって今の体制を築いて今年で9年めになる。ご自身も大学時代からジャズに親しみ、サックスに夢中になっていたという。

 取材に訪れた2015年4月当時のメンバーは18名、ちょうど新1年生の仮入部が始まる時期。中学生になってから楽器を始める生徒がほとんどだが、ジャズ部は地域でも知られた存在で、小学生のうちにその演奏を観客として体感することで「憧れのジャズ部に入りたい」という気持ちで入部する生徒は多いようだ。

 そんな生徒たちに紺野先生は「やる気があれば大丈夫だよ」と声をかける。最初は基礎からつきっきりで指導し、指使いを見せたり、吹いて音を出してみせたりと、一人ひとりに応じて丁寧に個人レッスンを行ってゆく。「こうして1年生の夏頃には簡単な曲が演奏できるようになります。2年生の夏頃には楽器をだんだんコントロールできるようになって、ここから後半はさらに上達して演奏が面白くなっていくでしょうね」。

上級生から受け継がれる姿勢と想い、自分を表現する心を大切に

ジャズ部顧問 紺野 光之 先生
SASAGE JAZZ部の特長は、「メンバーそれぞれの個性が音色に表れるところです」。

 アンサンブル形態のビッグバンドは、高度なアレンジとソロパートの組み合わせが聴かせどころ。吹奏楽と違ってメンバーが持つ譜面に同じものはなく、一人ひとりが大事な役割を果たす点も醍醐味となっているようだ。

 そこで上達のカギとなるのが自主性である。同部では、バンドのカラー作りから部長が中心となってまとめ、選曲も練習も生徒たちが自分自身で考えて動くことが当たり前になっている。的確な技術指導をベースに、「ソロパートの大切さ」を生徒が認識し、バンドを任せられる信頼と喜びから自主的な取り組みへとつながっているようだ。

 上級生は下級生に対して、技術を伝え、音楽の面白さを伝え、能動的な姿勢をも身をもって伝えている。紺野先生は、「上級生は私に技術を尋ねるよりも、『下級生への教え方』についてアドバイスを求めてきますね」と生徒たちの様子を教えてくれた。

 社会人やプロからコラボレーションなどの誘いも多く、生徒達が目指すレベルは自然と高まっているが、あくまでも部活動として一番目指しているのは、生徒が音楽を楽しむことだという。「音楽で何を伝えようか、自分の演奏で何を表現したいのかを大切にしてほしいと思っています」と語る紺野先生。

 音楽を通じた自己表現に目を輝かす生徒たちがこれからも続々と誕生しそうだ。

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