わが校自慢

Jiman

地域の人々に支えられながら
子どもたちの豊かな創造力と表現力を
6年間にわたって育む登り窯。

長野県 上田市立西内小学校

 全国の学校の「自慢の校舎」、「自慢の授業」、「自慢のクラブ活動」など・・・。
そんなわが校の自慢をレポートするコーナー。第3回目は、山間の美しい緑に囲まれた長野県上田市立西内小学校の登り窯と陶芸活動をご紹介。
 小学校1年生から6年間、全校児童が毎年一人一つずつ陶芸作品を製作し、3日間にわたる窯焚きによって作品が完成します。

2014/01掲載

学校と地域の人々を結ぶ伝統の「登り窯」
裏山の斜面を活かした登り窯は現在2代目で、
PTAや有志、職員の方々が各地の窯を見て歩いた
上で図面を引き、手作りで土台を築いたもの。

美しい自然に恵まれた、西内小学校。

昨年11月に行われた「火入れ式」
たいまつを緊張した面持ちで窯の中に投げ入れる。

全校児童、職員、保護者も一緒に陶芸体験

作品製作

信楽焼の陶芸家である宮上せいじ氏を指導者として招き、学年ごとにテーマを決めて作品を製作する。

 校舎の裏山の斜面に設けられた登り窯。1988年に当時の清水校長先生が「この山間地域に理想郷を」と掲げた指針のもと、教育課程における図工科の研究発表や、地域で採れる粘土を使った陶芸への取り組みを目的に初代の窯が造られた。
 以来、学校の活動として陶芸作品の製作が行われ、現在は11月に全校児童と職員が作品を製作し、2月には6年生が親子で卒業制作として大きな壺作りに挑むのが恒例行事となっている。地元の陶芸愛好クラブもその時期に合わせて年2回の作品製作に取り組みながら、窯焚きの準備や実施の支援を積極的に行っているという。

窯焚き本番は地域の人々やPTAも寝ずの番

 先ず、作品を窯に入れ、それが終わったら、児童の代表が「火入れ式」を行う。「火入れ式」から、1200度にもなる高温で焼き上げる窯焚きには連続3日間が費やされる。その間は職員の方をはじめ、愛好クラブやPTAも協力して数人でチームを組み、3時間交替で寝ずの番であたる。
 金子憲司校長先生は「6年生は親と一緒に学校に泊まり込みでやっています。児童の数が少ないこともあって、みんなで窯を囲んでいると家族のような気持ちになります。一人一人を大切にできる教育が行き届くことは誇らしいことですし、子どもたちはまさに地域の宝物としてみんなで育成していると感じます」と穏やかな表情で語る。
 児童たちも毎年作品製作にとても意欲的で、自分の作品に自信と誇りを持っているとのこと。作品の独創性にも成長の様子がよく表れていて、美しいものに感動する心や、人や郷土とのつながり、友だちの作品への敬意など、心を育むことにより発達段階ごとに成長が顕著に見てとれるそうだ。

鬼火

窯内が1000度を超えると煙突から幻想的な「鬼火」が吹き出す。

作品

5年生の作品/テーマは「花瓶」銘々、工夫したところを書いて展示している。

作品

3年生の作品/テーマは「城」「すてきなお城」「怪物の城」など個性豊かな作品が並ぶ。

高学年全員参加の金管バンドも活躍

金子 憲司 先生

校長 金子 憲司 先生

金管バンドの活動

金管バンドの活動の数々が、ところ狭しと貼られている

 実は西内小学校は、金管バンドの活動が盛んなことでも知られていて、テレビのドキュメンタリー番組でも取り上げられたほど。県大会で成績優秀となり、全国大会にも2度出場している。演奏がうまい児童を集めるのではなく、5・6年生全員が参加し(現在17名)、音楽専科ではない先生が保護者の支援も受けながら熱心に指導している取り組みは、児童と指導者と保護者との熱い気持ちが通い合う活動である。
 金子校長先生は「保護者の皆さんのバックアップには頭が下がる想いです。表現する経験を通して、『自分はここにいる!』と発信し、広い世界へ飛び立ってほしいと思いますし、また故郷を想う気持ちも忘れないでほしいと願います」と、児童たちの輝いている姿に目を細めながら語ってくれた。

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