鷹岡中学校の象徴「鷹中天文台」
大型の反射望遠鏡が堂々たる姿を見せる天体ドーム。現在の望遠鏡は2代目で2000年に富士市により更新されたものである。設置後から天体観測に積極的に利用されていた天体ドームだが、1990年代後半あたりから使用頻度の減少とともに、一時は閉鎖状態に陥ったことも。しかし2002年頃より、生徒や保護者から「鷹岡中学校のシンボルである天体ドームを復活させてほしい」という声が高まり、市からの補助金を受けて修復。2003年8月には見事に復活し、設置から現在47年、およそ半世紀にわたって大切に受け継がれている。
地域に開かれた「天文教室」を毎月実施
天体ドームの復活によって、生徒会やPTAの主催による観月会や星空観測会が始まった。こうした宇宙への興味の高まりによって、2004年5月には『鷹岡天文クラブ』が発足。と同時に「天文教室」がほぼ毎月開かれるまでになった。
『鷹岡天文クラブ』は富士市在住の天体に詳しい方々が会員となり、現在は鷹岡中学校の教員の方も含めて45名。会員は「天文教室」のアドバイザーとして常時7~8名が講師を務め、生徒や保護者はもとより地域の方々が気軽に参加できる形で、観月や星空鑑賞を行っている。
実際の観測に先立ち、今日の夜空について学習する。単に、星を見るだけでなく、「学び」を大切にしている。
映像ではなく、実際に望遠鏡を通して見た時の感動は大きい。
移動可能な天体望遠鏡も2台活用。
本物を肌で体験することの大切さ
校長 角替 智 先生
教頭 太田 桂 先生
天文教室担当 井上 秀昭 先生
「天文教室の運営は、PTAの方々や天文クラブの有志の皆さんによる熱心なご協力のおかげでスムーズに行うことができています。」
角替智校長先生は「天文教室にはわが校の生徒のほか、小学生や親子連れの方、卒業生の姿も見られます。毎回30名前後の参加があり、多いときでは50名ほどになることもあって、いつも賑わっています。」と、活動が盛んな様子を笑顔で語る。また太田桂教頭先生も「私自身、この天文台で初めて木星の縞模様や土星の輪を自分の目で見たときには感動しました。」と瞳を輝かす。
そして、先生方が揃って話されるのは「本物を肌で体験することの大切さ」である。子どもたちから「こんなふうになってたの!?」「初めて見る星がたくさん!」「もっと違うものを見たい!」と熱のこもった声があちこちで上がり、「宇宙の大きさや広がりを直接感じることから、様々な未知なる世界への興味につながっていけばいいですね。」という。
さらに角替校長先生は最後に、「天文教室には小さな子どもから年配の方まで幅広い年代の方々がいらっしゃいますので、宇宙や星という共通の興味に対して、異なる年齢の方々と楽しく関わる場としても広く愛されていけたらと思います。」と、地域に根付いた「天文教室」の在り方を語ってくれた。
イメージ写真提供
町田謙吾氏